石川善樹の「脳とうまく付き合う法」

人間の限界はどこまで広げられるか 世界選手権で2度の銅メダル・為末大氏に聞く

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為末 スポーツ界では男女ともに指導して成果を出した人はほとんどいないですね。男子は一発で力を出し切れるから、100メートルを1本全力で走らせる。一方、女子は一発で力を出し切れないので何回も練習しないといけない。男女の性差は明らかで、それを前提にトレーニングを考えます。しかし、一般の企業では男女の違いをあまり強調しないですよね。仕事の仕方やコミュニケーションのとり方とか、違いをきちんと認めないことはお互いにとって幸せじゃないと思います。

勝負強い人、勝負弱い人

石川 昇進についても、男性は自分から手を上げやすいけど、女性はなかなか手を上げない面があります。能力より自信の問題です。

為末 自信も能力を引き出すための大きな要素ですね。よく勝負強い、勝負弱いと言いますが、それを決めるのは、初めて出場した大きな大会の成績のような気がします。うまくいった人は、自分は勝負強い、うまくいかなかった人は勝負弱いと、自分でレッテルを貼ってしまい、それを後々まで引きずってしまう。いったん貼ってしまったレッテルをどうはがすかが、限界を克服することにつながるんだと思います。

石川 勝負強さとか運の良しあしは、自分で決めてしまっているのかもしれません。僕自身は練習はできなくても、本番には強いと思っています。為末さんも確か、そう話してましたよね。

為末 そうですね。僕は自分の記録の上位2つが、いずれも世界大会で出したもので、当時はそんな選手は日本にはほとんどいませんでした。400メートルの日本記録を持つ高野進さんから「為末は自分で物語を勝手に作って、そこに入り込んじゃう」と言われたことがあります。本当は自分は弱いんじゃないかとか、変に我に返らないのがいいんでしょうね。

石川 最後に勝つのは俺だと思ってるんですね。目先の勝負にこだわると、本当の強さは得られないような気がします。

為末 根拠を求めすぎるタイプの人は、本番で力を発揮しにくいのかもしれません。これだけ練習したんだからとか。逆に、俺は勝てるんだと単純に思うタイプ、説明しなくても自分を信じられるタイプは力を発揮しやすいんじゃないでしょうか。

石川 そういうタイプって見分けられますか。

為末 あの選手は勝負強いとか、勝負弱いとかの評価って、選手の間では思ったより一致しますね。

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