石川善樹の「脳とうまく付き合う法」

人間の限界はどこまで広げられるか 世界選手権で2度の銅メダル・為末大氏に聞く

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石川 オリンピックって、普段はメディアで注目されない競技も多いですよね。

心が大事か、技術が大事か

為末 そういう面もありますね。メダルを期待されると、さらに自分の中で特別感が加速します。そもそも、人生の前半からそのために生きてきた人が多いですから。ついにここまでたどり着いたと。富士山の山頂までどう登るかは考えても、山頂でどう過ごすかまで考える人は少ないですよね。来てみたらイメージと違って戸惑う面もあります。

石川 実際に会場に着くと、どんな感じになるんですか。

為末 でかいんですよ、競技場が(笑)。ほとんどの選手にとって、自分の競技史上最も大きい競技場がオリンピック会場でしょう。観客も桁違いですし、セキュリティーも厳重だし、ユニホームなども試合用とセレモニー用で着替えないといけないし、とにかく普段と違うことが多すぎるんです。

石川 そういうことの事前練習はできないですからね。

為末 将来、もしかするとバーチャル・リアリティーで体験できるようになるかもしれませんね(笑)。

石川 なるほど。ちょっと脱線してしまいましたが、非日常の中で競技してみて、具体的にどういう点で心が大事だと思うようになるんでしょうか。

為末 これは感覚ですが、心が大事だと答えた人は、成果が出なかった人の比率が高いのかなと思います。成果を出せた人は、やっぱり技術だと言うような気がします。言葉を変えると、オリンピックで失敗した選手のほとんどが、心理面での失敗だったと自己分析しているってことだと思います。僕自身も1回目のオリンピックでは転倒しました。技術的なミスなんだけど、本当の原因は心理的な乱れだと認識していますね。

石川 そうなんですか。

為末 あのとき思ったのは、人間には心がある。心さえなければ、こんなことは起きないのに、ということです。だから心をどう解析するかが、パフォーマンスに非常に関わってくると。それが心理学に興味を持つようになったきっかけです。

石川 為末さんと知り合ってから、僕もスポーツに関心を持って研究を始めたんですが、スポーツ選手のパフォーマンスが落ちる最大の要因の1つが「考える」ことだそうです。ゴルフでもスイングを分析して考えれば考えるほど、体が動かなくなると言いますよね。

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