石川善樹の「脳とうまく付き合う法」

将棋の本質に迫るのは、人間か、AIか 次代の将棋界を担うホープ・中村太地六段に聞く

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 予防医学者の石川善樹氏がさまざまな分野のエキスパートと対談しながら、脳とうまく付き合う方法を探る連載シリーズ。第4回は次代の将棋界を担うホープと期待される中村太地棋士(六段)がお相手です。将棋といえば、現役最強といわれる羽生善治三冠(王座、王位、棋聖)がコンピューター将棋ソフトと対戦するイベントに「参戦」を表明したばかり。将棋をテーマとしつつ、人工知能(AI)と人間の違いや、そもそも理解するとはどういうことかなど、考えることの本質に迫る対談となりました。

理解を超える「アルファ碁」

石川 善樹氏(いしかわ よしき)

石川 善樹氏(いしかわ よしき)

広島県生まれ。東京大学医学部健康科学科卒業後、ハーバード大学公衆衛生大学院修了。「人がより良く生きるとは何か」をテーマとして学際的な研究を行う。専門分野は、予防医学、行動科学、計算創造学、マーケティング、データ解析等。講演や、雑誌、テレビへの出演も多数。NHK「NEWS WEB」第3期ネットナビゲーター。著書に『疲れない脳をつくる生活習慣』(プレジデント社)、『最後のダイエット』『友だちの数で寿命はきまる』(ともにマガジンハウス)など。

石川 羽生さんが、将棋ソフトと対戦する「電王戦」の予選に参加することになりましたね。プロの棋士としては、どんな感想ですか。

中村 世間では「将棋=羽生さん」というイメージがあると思うので、もしソフトとの対戦が実現すれば、勝つにしろ、負けるにしろ、将棋における人間とソフトの力関係がはっきりするでしょうね。個人的には、対戦を観てみたいような、観たくないような......複雑です。その半面、漫画の「ドラゴンボール」で孫悟空が魔人ブウや未知の惑星の強敵と戦うのとイメージが重なり、とてもワクワクするのも確かです。

石川 なぜ、対戦しようと思われたんでしょうね。

中村 想像するしかないのですが、羽生さんとしては、AIに深く興味を持たれて、ぜひ対戦してみたいという純粋な気持ちが湧いてきたのではないかと思います。あとは、そろそろ自分が出なくては、という責任感もあったのかなと。影響力の大きさはご自身が一番よく分かっていらっしゃると思うので、勇気のいる決断だったのではと感じます。

石川 囲碁では、米グーグルのAI「アルファ碁」が世界屈指の強豪といわれる韓国のイ・セドル棋士を破り、大きな話題になりました。

中村 囲碁のソフトはまだ全然強くなくて、10年後でもようやく人に勝てるかどうかと思われていたのに、グーグルがちょっと本気を出したら勝ってしまった。文明の発達のすごさを見せ付けられたというか、衝撃でした。

石川 ガリレオやニュートンの登場みたいな感じですか。突然、科学の天才が現れて、モノの見方がガラッと変わるような。

中村 そうですね。アルファ碁は、最初の数手は一見するとメチャクチャで、やっぱりソフトは弱いな、とみんな思ったそうです。ところが、数十手後にちゃんと陣地を取っていて、いい手だったとわかった。人間の理解を超えているんです。

石川 へえー。碁を打つうえでの原理原則が全く違うのですか。

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