石川善樹の「脳とうまく付き合う法」

逆境こそ「ポジティブな自分」への近道 「冒険の共有」広げる登山家・栗城史多氏に聞く

記事保存

日経BizGate会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。

 「マインドフルネス」など最新の脳科学の知見に基づくストレス対策やパフォーマンス向上策が注目されています。健康的に働きながら、成果を出していくには、どのように脳を働かせていけばよいのでしょうか。脳科学をはじめ、予防医学や行動科学など幅広い分野で精力的に情報発信している予防医学者の石川善樹氏が、さまざまな世界で活躍する方々との対談を通じて、脳とうまく付き合う方法を探っていきます。

 第1回のお相手は登山家の栗城史多氏です。8000メートル級の高峰への単独・無酸素登頂に4度成功。エベレストには5回挑戦していずれも挫折しながらも、登山の様子をインターネットで生中継するなど、「冒険の共有」という新たな領域を切り開いています。あくなき挑戦心はどこから生まれるのか、お聞きしました。

登頂成功が一番の目的じゃない

石川 善樹氏(いしかわ・よしき)

石川 善樹氏(いしかわ・よしき)

広島県生まれ。東京大学医学部卒業後、ハーバード大学公衆衛生大学院修了。「人がより良く生きるとは何か」をテーマとして学際的な研究を行う。専門分野は、予防医学、行動科学、計算創造学、マーケティング、データ解析等。講演や、雑誌、テレビへの出演も多数。NHK「NEWS WEB」第3期ネットナビゲーター。著書に『疲れない脳をつくる生活習慣』(プレジデント)、『最後のダイエット』『友だちの数で寿命はきまる』(ともにマガジンハウス)など。

石川 栗城さんとは何度かお話をさせていただいていますが、あらためて、どんな気持ちで山に登っているのでしょうか。さまざまな冒険に挑戦されていますが、誤解を恐れずに言うと、「何が何でもこの山に登るんだ」と思っているようには見えないんですね。そこは重視していないというか...。

栗城 やる気がないわけじゃないですよ(笑)。登山家に特有の考え方かもしれませんが、無事に生きて帰って来られることが何より重要で、登頂できるかどうかは2番目ですね。世間では登頂することがすべてのようにいわれますが、僕にとっては自分がチャレンジすることが大事。チャレンジ自体がよいことかどうか、自分が楽しめたかどうか、そして無事に生きて帰って来られることが最も大切です。

石川 なぜ成功することが一番じゃないんでしょう。

栗城 相手は自然ですから、努力しても行けない場所はあります。そもそもチャレンジは楽しむためにある。それが苦しくなったらダメ。もちろん、苦しいことはいっぱいありますが、それを楽しむことが大事だと思っています。

石川 登っていて「楽しくないな」と思う瞬間はあるんですか。

栗城 登れるとわかった瞬間ですかね。すごく負荷がかかって、行けるかどうかわからないところが登山の面白さ。登る前から100%行けるとわかっていたらモチベーションは上がりません。

関連情報

閲覧履歴

    クリッピングした記事

    会員登録後、気になる記事をクリッピングできます。