グローバル競争を勝ち抜く組織・人事

AIと共に生きる、目を背けず自ら変化起こせ 米マーサー 社長兼CEO フリオ・ポルタラティン氏

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人とロボットは協働してこそ価値を生む

――マーサーの社内では、どんな取り組みをしていますか。

 私たちはAI時代の働き方を予想した「ジェイン&ウォーレン」というビデオを作成しました。ジェインは人間で、ウォーレンがAIです。2人は顧客に提供するサービスがより良いものになるよう協業します。例えば、ウォーレンはリアルタイムでデータを取得、分析し、ジェインに提供する。ジェインはそのデータをもとに、直観的に判断し、顧客に最適なプレゼンテーションをするといった具合です。ここで大事なのは、ジェインは人間的なソフト・スキル、つまり共感や協力、寄り添うといった感情面で力を発揮することです。人間と一緒に働くロボットのことを、私たちは「コボット(Cobot)」(協業を表すコラボレーションとロボットを合わせた造語) と呼びます。このビデオは、私が理想とする「人とロボットが協力して働く世界」を表現しているわけです。

 マーサーは世界中に拠点を持ち、様々な調査・研究を実施しており、相当な数のデータベースを持っています。私たちにとって目下、最大のチャレンジは、知的資産であるデータと、社員であるコンサルタントの力をどう組み合わせて、他のコンサルティング会社に比べて優位性を打ち出すかです。データはそのままでは使えません。顧客のニーズに合わせて、コンサルタントが手を加えて提供して初めて価値を生む。大切なのはダイナミックに、リアルタイムでそれが行われることです。だから、AIは社員の能力を高め、付加価値を高めるプラスのインパクトを与えると言えるのです。

――マーサーはここ数年、トムソン・オンライン(Thomsons Online Benefits)、シロタ(Sirota)などテクノロジー関連企業を相次いで買収し、「マーサー・デジタル」と呼ぶ取り組みも始めています。これにはどんな狙いがありますか。

 私たちは、デジタル・ディスラプションに直面する顧客と一緒になって、未来の労働とはどういうものかを考え、顧客がそれに対応し、成長できるようサポートしようとしています。私たちのデータベースの一部を活用してもらう、または競合企業と比較したベンチマーキング調査をするといった施策に取り組んでいます。また、今年6月にはグローバル企業約80社に参加いただき、「シンセシス・フォーラム」というイベントをニューヨークで開催しました。参加企業とともに、未来の企業には何が求められるかを議論するもので、日本からも味の素社とソニー社からご参加いただきました。

 トムソン・オンラインの買収により、クラウドを使ったオンラインの福利厚生サービスのプラットフォームを80カ国以上で提供できるようになりました。企業だけでなく、従業員ひとりひとりに対してもソリューションをお届けできるテクノロジーを手に入れたのです。これは投資のひとつの例であり、ほかにも未来に備える手立てはいくつもあると考えています。

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