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ケース33:海外進出!それ意味あるの? 弁護士・ニューヨーク州弁護士 畑中 鉄丸 氏

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 目的が合理的でなかったり、現実的でなかったり、計測不能であったり、タイムラインもいい加減であったり、といったものは、形式上の説明如何にかかわらず、要するに「イイカッコをする、世間体や体面を保つ、プライドを充足する、意地を張る、見栄を張る」というのが当該経営判断の実体であると推定されます。

 そして、「中国進出ブームに舞い上がって中国進出した経営者」というのは、冷徹で緻密な計算をし尽くすこともせず「トレンドに遅れていないぜ! 最先端の国際ビジネスをやっているぜ!」という意地やプライドや主観的満足充足のため、頭脳が混乱した状態で、進出した、という蓋然性が高いと思われます。だからこそ、「短期間に赤字を積み上げて撤退を決定したが、出口戦略をまともに描いていなかったため撤退すらままならない」という現状に直面しているのではないでしょうか。

海外進出自体を自己目的化させない

 設例のケースで言いますと、アジア諸国にジョイントベンチャーで事業展開ということですが、

1)カネを増やす

2)出て行くカネを減らす

という観点で考えても、カネはどんどん出ていくわけですから、まず、大きなリスクを抱えています。

3)時間を節約する

4)手間・労力を節約する

という点についても、地の利もなく、ゲーム環境も不慣れであり、言語も文化も異なるところで、真面目に商売するのであれば、途方もなく、時間とエネルギーを喪失します。

 無論、設例では、「詳しい仕組みはよくわかっていないんですが」「現地のパートナーが、全てビシッと、うまいことやってくれるので、こっちは、カネと商品をもっていけば、あとは財布を開けて待っているだけ」「弁護士も会計士も全部、現地パートナーが用意してくれる」などと無責任なことを言っていますが、真面目に商売をするつもりなのか、姿勢が疑われます。

 仮に全てがうまくいき、それなりに商売として成立したとしても、進出当事国の所得レベルを考えれば、飛ぶように売れたとしても利幅は小さく、投資を回収するのにものすごい長期の時間を要しそうであり、その間に、飽きられたりするリスクも想定されるところです。費やす時間とコストとエネルギーを考えれば、経済的なロスが大きすぎます。

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