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ケース33:海外進出!それ意味あるの? 弁護士・ニューヨーク州弁護士 畑中 鉄丸 氏

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顧問弁護士 畑中鉄丸の助言

日本企業、海外進出の下手っぷり

 日本企業のアジア進出ですが、多国籍展開経験のある一部の巨大企業を除き、多くの中堅・中小企業は、たいていが残念な結果に終わっているようです。かつては「中国進出ブーム」が日本の産業界を席捲しました。その当時の経営者向けのメールマガジンなどを振り返ってみますと、

 「国連『世界人口白書』によると、世界の総人口が70億人を突破する予定です。そのうちの人口のトップは、約13億人で中国。単純に考えて、世界の5人に1人は中国人という計算です。この国が抱える13億人の一大マーケットは非常に魅力的」といったリード(前文)があり、「今、中国進出しないのは愚策です! 何もしないと千載一遇のチャンスを逃します!」ともとれるような煽り文句が読み取れます。この種の威勢のいい号令に従う形で、数多くの中堅中小企業が中国に進出して行きました。

 しかし近年になってくると、状況は一変します。中国ビジネスに関するもっともホットな経営テーマは、なんと「中国進出企業の撤退の実務」になりました。

 曰く、「外国企業が中国事業から撤退しようとしても、日本での撤退手続きのように、必ずしもスムーズにいくわけではない」「中国では、外国企業の撤退に関する法制度が未だ完全には整備されていないため、手続きが煩雑で、多くの時間とコストがかかる」「また、撤退に際して、政府から許認可等を得る必要がありますが、各地方政府の担当官の裁量により、ケースごとに撤退に関する判断や要求が異なる場合が多くある」「中国における清算の実務上のポイントを説明し、いくつかの実例を挙げながら、よりスムーズに撤退手続きを行うための方策」なるものを勉強しましょう、といったセミナーが中国からの撤退を考える中堅・中小企業の経営幹部に人気を集めるようになりました。

 こういう状況を冷静に観察すると、「進出するのか、撤退するのか、どっちやねん!? 大丈夫か?」というツッコミを入れてみたくもなります。日本の中堅・中小企業の経営者の多くが、なぜ、こんな無意味な行為をするのでしょうか? 弁護士なぞでは理解ができない、何か高度で深淵な意味があるのでしょうか?

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