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ケース34:団体交渉!恐れず甘く見ず 弁護士・ニューヨーク州弁護士 畑中 鉄丸 氏

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やってはいけない独立系労組への対応

 しかしながら戦闘的で、百戦錬磨のプロの精鋭が集う、独立系労組との団体交渉となると、一瞬たりとも気が抜けない緊張感あふれる戦場のような状態でシビアな利害対立の中、かつ、労働組合法の交渉ルールにのっとった丁々発止(ちょうちょうはっし)の掛け合いが展開する場合も想定されます。

 組合員は自らの地位や権利や尊厳がかかっており、大変な決意で団体交渉に臨んでおり、また当該組合員の権利や立場や尊厳を守るために、組合としても「労働争議のプロフェッショナル」として、交渉テーマについて、組合として掲げた目的を達成するため、入念な準備と必死の姿勢で臨んでいます。

 そんな「食うか食われるか」という趣の場所に出ていって、「まあまあ、何をその程度のことで。話せば分かる」なんて態度で望めば、戦う前から負けているようなものです。

 いきなり交渉テーマに切り込み、各種証拠や、痕跡を示して、「反証があればただちに示せ、セクハラやパワハラの当事者がどのような認識で、その齟齬について両者の見解の隔たりを確認して、問題点を明らかにしたい」という追い込み姿勢で、のっけから積極的にグイグイ話を進める中で、のらりくらりとやっていると、設例のとおり、「不誠実だ」「交渉拒否だ」「不当労働行為だ」「もはや争議行為だ」と畳み掛けられてしまいます。

 そうやって、痛いところ、弱いところを突かれ、反論もろくにできないまま妥協の姿勢を示そうものなら、相手方は、すかさず強硬な条件をつきつけ、あとは、際限なき譲歩を迫られることにもなりかねません。相手は交渉に臨む上で、労働組合法を徹底して勉強しているほか、不当労働行為救済申し立てなどは経験済みであり、交渉テーマに関しても、関係する裁判例も含めて調べ上げているとみなければいけないでしょう。あいまいなイメージで団交に望めば、設例のように、組合側の要望を伝えるだけ、企業を危機に陥れるだけの交渉しかできなくなります。

 重要なことは、正しく不安を抱き、正しく緊張し、ゲームのルールをきちんと理解し、現場でどういうことが行われるかを明確に想像し、課題と対処方法や応答シナリオをきちんと準備し、臨むべき、ということになりますでしょうか。

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