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ケース34:団体交渉!恐れず甘く見ず 弁護士・ニューヨーク州弁護士 畑中 鉄丸 氏

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顧問弁護士 畑中鉄丸の助言

団体交渉とは何か

 今回問題となっているテーマ、団体交渉ですが、労働三権とか、労働争議とかって文脈で、聞いたことがあるという方も多いかと思います。ですが、実際何が問題で、何がリスクで、どういうことが行われ、何をやっちゃいけないか、ということが今ひとつ理解していないし、経験しないと実感としても沸かないという方も少なくないかもしれません。

 団体交渉といっても、カウンターパートによっても、さまざまです。

 いわゆる大手企業ですと企業別労働組合が結成されていて、例えば賃金交渉などでも、企業側とシビアに対立することもなく、予定調和の中で、対立をしつつも、最後は適当なところで折れ合うという毎年恒例行事のようにやる、といったイメージもあるかもしれません。このような団体交渉をイメージする限り「相手も同じ人間ですよ。話せば分かります」という人事部長の当初の反応も理解できなくはありません。

 その一方で、独立系労組とか合同労組とかいわれる、「企業との馴れ合いの茶番をするつもりもなく、予定調和も想定できず、争訟を辞さず、とことん争ってくる、戦闘的な労働組合」との団体交渉の場合は、楽観的に対応すると、設例のように、かなり厳しい状況に追い込まれることがあります。このように「理解しているようで、あまりできていないし、経験も皆無であり、イザ、独立系労組との団体交渉が開始される、という事態」に陥ったときに、冷静かつ賢明に対応するため、団体交渉について、本質から解説していきたいと思います。

 まず、団体交渉ですが、これは労働組合が、企業と労働契約に関する事項に関して交渉することを指します。「単なる話し合い」と違い、日本国憲法第28条及び労働組合法によって保障された手続きにのっとって行うものを指します。法律の手続きにのっとらない「労使間の単なる話し合い」は、どんなに騒々しいものであっても、団体交渉ではなく、一般的な労使協議と言われ、取り扱いが違ってきます。

 正当な団体交渉については、企業側が正当な理由もなく無視したり、拒否したり、不誠実に対応した場合、使用者の対応が「不当労働行為」とされます。組合側が労働委員会に救済申し立てをされることにより、救済命令が発令され、使用者の面目を喪失するような措置が取られたりすることが生じます。

 また、企業側が団体交渉にきちんと応じない、あるいは正当かつ誠実な団体交渉を経てもなお解決できない問題については、組合側としては、打開を求めて争議行為を展開することになります。

 この団体交渉、無視したり、拒否したり、不誠実に対応しなければ、特段問題ない話でもあります。設例の人事部長の当初の見立てどおり「そんな大事になるわけないじゃないですか。話せば分かります」というイージーな感じで対応して良さそうな気もします。

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