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ケース25:危ない会社の窮状につけ込んで、うまいこと乗っ取れ! 弁護士・ニューヨーク州弁護士 畑中 鉄丸 氏

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今回の経営者・菅野社長への処方箋

 菅野さん、これはチャンスですね。

 「社外役員とかって形で経営に参画」なんて、そんなつつましいことを言ってる場合じゃないでしょ。窮状につけ込んで会社を丸ごと乗っ取ってしまえばいいんじゃないですか。

 お話を聞く限り、浮世離れした社長ファミリーが放漫経営の末、会社を傾けた末、銀行に見放されたってことですから、そんな連中に同情する必要などありません。

 菅野さんのような、シビアな苦労人が、妥協せず、現実的かつ冷徹に経営管理をしてこの「トライアングル」社を立て直す、ということができれば、「潰れたら路頭に迷うことになる従業員や取引先」からも却って感謝されるのではないでしょうか。

 ただ、怖いのは、会社の経営状態がわからない状態でかかわってしまって、返済も無理、株もクズ株で、突っ込んだカネをキレイに失ってしまうことです。

 「死に体」企業ってことですが、「死にそう」のレベルも、助かる程度であればいいのですが、「すでに死んでいる状態」だと、支援するだけ、かかわるだけ無駄ですから。

 この点、必要なのは、デューデリジェンスです。

 「返済能力の測定や返済計画の検証」ということを大義名分として、財務面において丸裸とするようなすべての資料を提出してもらい、事実上のデューデリをやってしまえば、この種のジャッジの前提は整います。

 もし、このシナリオにおいて、想定外があるとすれば、彼らが、約束どおり、期限までに貸したカネを全額、耳をそろえて払ってくることです。

 約束を果たされてしまったのであれば、こちらも担保実行の大義名分を失います。

 ま、その場合、「高金利の金融利益」を手にできるわけですから、まあ、残念賞ということで、ちょっぴり、美味しく儲かった、ということでいいのではないでしょうか。

 いずれにせよ、貸したカネを返してきた場合には金融の利益を、返せなかった場合には「会社を合法的に乗っ取る利益」をもらう、という「どっちに転んでもそれなりに美味しいシナリオ」をきっちり描き、うまいことやる方向で検討されたらいかがでしょうか?

 法的なことや、デューデリとか面倒なことは、こちらで全面的に支援しますよ。

 日陰で頑張ってこられた菅野さんが、燦々と陽の当るステージに出る、大きなチャンスの到来です。

 「千載一遇の好機を逃さない。ぜひ、前向きに取り組みたい」とうことであれば、支援体制を整えます。

畑中 鉄丸(はたなか てつまる)
弁護士・ニューヨーク州弁護士。東京大学法学部在学中に司法試験(日本)及び国家公務員試験1種に各合格。新日本製鉄勤務等を経て、弁護士登録し、1998年に渡米。ペンシルバニア大ロースクール(修士課程)留学、ニューヨーク州司法試験合格後、Kirkland&Ellis法律事務所勤務等を経て、弁護士法人畑中鐵丸法律事務所を設立し、現在に至る。多数の企業・医療機関・学校法人等の顧問弁護士を務めるほか、日本弁護士連合会債権回収に関する委員会(サービサー委員会)前委員長、日本商品先物取引協会あっせん・調停委員、日本商品先物取引協会・自主規制委員会委員、一般社団法人ニューメディアリスク協会理事、子ども安全学会理事長等を歴任。著書は「企業法務バイブル」シリーズ(弘文堂)、「戦略的コンプライアンス経営」(弘文堂)、「ビジネス契約実務大全」(企業研究会、分担執筆)、「法律オンチが会社を滅ぼす」(東洋経済新報社)、「こんな法務じゃ会社がつぶれる」「生兵法務は大怪我のもと!」(第一法規)、「ヤヴァイ会社の死亡フラグ10」(経世出版)等多数。最新刊は「こんな法務じゃ会社があぶない」(2016年4月、第一法規)。

キーワード:経営、マーケティング、グローバル化、働き方改革、人材、イノベーション、経営層

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