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ケース25:危ない会社の窮状につけ込んで、うまいこと乗っ取れ! 弁護士・ニューヨーク州弁護士 畑中 鉄丸 氏

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オーナーの持つ全株式を譲渡担保として差し入れてもらえ

 以上のように、支援額を死ぬほどシビアに算定しますが、貸す際には、返済ができなかったり滞ったりした場合の担保をとっておくことも必要です。

 無論、不動産や金融資産は、銀行が担保として真っ先に取得し、べったりツバがついた状態になっているはずです。いかに高額の不動産とはいえ、二番抵当や三番抵当をつけても、返済が回ってくる可能性は皆無でしょう。

 今回の目的ですが、貸したカネに金利をつけて返してもらうという「金融の利益」を得ることはほぼ絶望的であろう、と推察されます。

 むしろ、「返済ができない」ことをトリガー(発動条件)として、会社の経営に参画する、さらにエゲツナく表現すれば、「窮状につけ込んで、再生の余地ある会社を合法的に乗っ取ってしまう」ということも目的として想定することが可能です。

 役員に連帯保証を差し入れてもらうのは当然として、融資の条件として、オーナーの持つ全株式を譲渡担保として差し入れてもらうことを要求するべきです。

 貸したカネが、金額あるいは期限のいずれかの面で違約されることがあれば、有無を言わせず即座に、担保としてツバをつけた株式を「質流れ」よろしく担保実行し、取り上げてしまいましょう。

 無論、「債務者から預かった担保物を、些細な違約を盾にして、高圧的に騒ぎ立て、合法的に取り上げ、安っすい価格で、自分のモノにしてしまう」という乱暴なことをするわけですから、担保実行に際しては、担保価値の評価や清算手続き等、所定の「質流れ」の手続きをエレガントに実践しなければなりません。

 そうやって、全株式を自分のモノにしたら、あとは、株主総会を開いて、役員全員のクビをすげ替えてもいいですし、「やる気があって、安い報酬で、新しいオーナーとなった菅野さんに忠誠を誓い、靴をなめんばかりに、媚びへつらい、死に物狂いで働いてくれる」というのであれば、残留をさせてもいいでしょう。

 要するに、担保実行という形であれ、株式を全部自分のものにさえしてしまえば、あとは、煮て食おうが焼いて食おうが、菅野さんの自由であり、誰に、何の遠慮も要りません。

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