経営トップのための"法律オンチ"脱却講座

ケース24:消費者契約法違反ですって?!ウチは無関係でしょ! 弁護士・ニューヨーク州弁護士 畑中 鉄丸 氏

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今回の経営者・小三也社長への処方箋

 お怒りはごもっともですが、この問題は、冷静に対処すべきですね。

 無論、分が悪い論点もありますが、明かに、相手が調子に乗って根拠が不明な状態で、ぶっ込んで来ている主張もあり、きちんと論点を整理して、正しく議論をすれば、相手の言うなりになる必要もないと思われます。

 ただし、今回の事業というか、活動は、小三也さんの、クリーンで、正義で、理念と志にあふれるイメージを大前提として、行われている、イメージ商売です。

 議論で勝っても、イメージでボロ負けし、ビジネス基盤が破壊されたら、いっかんの終わりです。

 それに、文句を言ってきている塾生は、わずか数名ですし、返金といってもたいしたことはない額。

 こんな、ま、言ってしまえば、しょうもない、みみっちいクレームに、「これは、正義の問題です。お金はいくらかかっても構いません」なんて、常軌を逸してます。

 もう、さっさと返金してしまいましょう。

 ただし、返金する際も、「じゃあ、オレもオレも、私も私も」と騒動が連鎖し、雪崩現象となっては元も子もありません。

 返金する際には、「先方は主張はすべて撤回し、法的には返金義務が一切ないことを確認する。ただし、当方は、道義的に宥恕(ゆうじょ)し、契約違反・法令違反・損害発生を前提としない、解決金として、特別に支払う」「和解内容や返金実施の事実を含め一切を守秘する」などと謳い、事件として一切波及しない措置を厳格に定めた和解契約書の徴求と引き換えにすべきです。

 まあ、言ってみれば、「ネガティブなイメージ拡散を防ぐ、広告料」と思って、気持ちよく応じてやってください。

 それよりも、同種のクレームがこれ以上出ないように、塾生の不平や不満に耳を傾け、「払ったカネ以上の価値あるサービスを提供してもらったし、不満はない」という気持で卒業してもらようにしましょう。

 法律の条文を突き回して論破するより、クレーム自体をなくすことが、最大の消費者問題回避戦略ですから。

畑中 鉄丸(はたなか てつまる)
弁護士・ニューヨーク州弁護士。東京大学法学部在学中に司法試験(日本)及び国家公務員試験1種に各合格。新日本製鉄勤務等を経て、弁護士登録し、1998年に渡米。ペンシルバニア大ロースクール(修士課程)留学、ニューヨーク州司法試験合格後、Kirkland&Ellis法律事務所勤務等を経て、弁護士法人畑中鐵丸法律事務所を設立し、現在に至る。多数の企業・医療機関・学校法人等の顧問弁護士を務めるほか、日本弁護士連合会債権回収に関する委員会(サービサー委員会)前委員長、日本商品先物取引協会あっせん・調停委員、日本商品先物取引協会・自主規制委員会委員、一般社団法人ニューメディアリスク協会理事、子ども安全学会理事長等を歴任。著書は「企業法務バイブル」シリーズ(弘文堂)、「戦略的コンプライアンス経営」(弘文堂)、「ビジネス契約実務大全」(企業研究会、分担執筆)、「法律オンチが会社を滅ぼす」(東洋経済新報社)、「こんな法務じゃ会社がつぶれる」「生兵法務は大怪我のもと!」(第一法規)、「ヤヴァイ会社の死亡フラグ10」(経世出版)等多数。最新刊は「こんな法務じゃ会社があぶない」(2016年4月、第一法規)。

キーワード:経営、マーケティング、グローバル化、働き方改革、人材、イノベーション、経営層

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