経営トップのための"法律オンチ"脱却講座

ケース24:消費者契約法違反ですって?!ウチは無関係でしょ! 弁護士・ニューヨーク州弁護士 畑中 鉄丸 氏

記事保存

日経BizGate会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。

消費者問題の恐ろしさ

 ちなみに、特定商取引法も、消費者問題で、よく出てくる法律ですが、こちらは、読んで字のとおり、「特定の商取引が規制され、当該商取引毎の特徴と実情に即した消費者保護ルールが適用される」というものであり、「B2Cビジネス、すなわち、一般ピーポ向けの商売をやっている企業であれ学校であれ一般社団法人であれ、ありとあらゆる組織や法人に適用される」というものではありません。

 しかし、法律をつぶさにみると、店舗での単純な物販を除き(プロダクトクレームではない)セールスクレームが出てきそうな、ほぼすべてのセールス類型が網羅されており、B2Cビジネスを展開する企業はすべてスタディーしておく必要がある、厄介なものです。

 設例においては、消費者契約法については不実告知や不利益事実不告知、解約制限や中途解約金返還制限等が問題になっている可能性があります。

 特定商取引法については第41条第2項の特定継続的役務(「役務の提供を受ける者の身体の美化又は知識若しくは技能の向上その他のその者の心身又は身上に関する目的を実現させることをもって誘引が行われるもの」「役務の性質上、前号に規定する目的が実現するかどうかが確実でないもの」)に該当しそうなものの、政令で定める業務には該当しない可能性もあり、こちらは、議論する価値はありそうです。

 ただ、消費者問題については、「正面から争って、論破すればいい」というわけではないところが、おっかないところです。

 無論、最終的には、法律の各条項の解釈や適否は、裁判所で議論を尽くすことが可能ですし、そうあるべきですが、そんな議論が決着する前に、マスコミやネットで「あそこは消費者契約法に違反している」という風評が蔓延したりすると、議論はさておき、「あそこの会社の、あのビジネスは、エゲツナイし、グレーだ」というラベリングがされ(烙印が押され)、ビジネスの基盤がかなりスピーディーに瓦解してしまう可能性があります。

 一度、ビジネスの基盤が瓦解すれば、何年かして裁判で勝利しても、意味がありません。

 そんなことを見越してか、消費者庁も「注意喚起」と称して、情報化社会に即したソフトで効果の高い事業統制手段を効果的に活用するようになっており、その意味では、「消費者問題」を指摘されたら、脊髄反射で「売られたケンカを買って、堂々と論破」するような単純な闘争方針ではなく、ラベリングによる測定不能なリスク拡大から事業を守る「大人のチエにもとづく成熟した対応」も必要になってきます。

閲覧履歴

    クリッピングした記事

    会員登録後、気になる記事をクリッピングできます。