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ケース24:消費者契約法違反ですって?!ウチは無関係でしょ! 弁護士・ニューヨーク州弁護士 畑中 鉄丸 氏

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消費者保護法制に聖域なし

 この消費者契約法ですが、施行当初、皆、設例の小三也社長のように、「あんなのは、キャッチセールスとか霊感商法とか押し売りとか、そういう特殊なご商売をなさっている方だけに適用される問題であって、学校とか大手企業とかウチのような清く正しく美しい組織には関係ございませんっ!」「立派で、しっかりとした、我々のようなところには、当然適用なんかされません。適用除外です。聖域です」と思っていました。

 しかしながら、そんな適用除外条項などありません。

 この法律は、B2Cビジネス、すなわち、一般ピーポ向けの商売をやっている企業であれ学校であれ一般社団法人であれ、ありとあらゆる組織や法人に適用されます。

 実際、施行後、この法律が活用され、社会的にも大きな事件となった消費者問題は、私立大学を合格した受験生から大量に訴えられ、大学がことごとく敗訴しまくった、「学納金返還」問題です。

 わかりやすく解説しますと、当時、いわゆる「すべり止め大学(本命の志望校以外に、保険として、受験する大学)」を受験して合格した受験生や親は、第1志望の合格発表前に、すべり止め大学から「いったん納付された入学金や授業料などの学生納付金は理由のいかんを問わず返還しない」として、かなりの金額を取られ、泣き寝入りする状態でした。

 そこで、この問題の解決に、出来上がったばかりのピカピカの消費者契約法が「伝家の宝刀」として使われ、それまでの大学側のやりたい放題・取り放題に学生・親側は、「学納金不返還特約は,消費者契約法9条1号により無効」として反撃を加えました。

 結果、最高裁で、大学は手痛い敗訴を食らい、「入学金はさておき、前期授業料までぼったくるのはやりすぎ」とお叱りを受け、現在では、このような悪弊はほぼ一掃されています(巨額なものはさておき、入学金など没収されるものはありますが)。

 何を言いたいかといいますと、消費者契約法は、「キャッチセールスとか霊感商法とか押し売りとか、そういう特殊なご商売をなさっている方」の専売特許のような限定適用されるものではなく、ご立派な活動をなさっているご立派な大学も適用射程となる、「消費者保護のために発動される、聖域なき究極兵器」ということです。

 ちなみに、東証一部上場企業である大手携帯電話通信各社の「中途解約違約金条項(○年しばり)」も、この消費者契約法のターゲットにロックオンされ、最終的な勝敗はともかく、訴訟沙汰になっています。

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