経営トップのための"法律オンチ"脱却講座

ケース23:独禁法違反? はぁ? 意味わかんねーわ 弁護士・ニューヨーク州弁護士 畑中 鉄丸 氏

記事保存

日経BizGate会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。

今回の経営者・氷湖社長への処方箋

 社長、「安売りして、何が悪い」というお気持ちは分かりますが、御社の場合、原価割れ販売を行っていますので、独占禁止法違反と評価される可能性がありますね。

 とはいえ、「限定された期間だけ行った」という事情もありますし、「零細つぶし目的の邪悪な意図」に基づくルール無用の略奪的ダンピングをやった、というより、目立ちたがり屋特有の天然なノリで、いい気になって、調子に乗って、やらかした、という感じなので、「自由な競争を活発化させる意図でやりすぎました。公正な競争を阻害する可能性など、みじんもございませんでした」と、きちんとした書面で、辞を低く、弁解しておきましょう。

 ともあれ、社長。値下げも行き過ぎると違法になるということは、きちんと理解しておいてください。

 それにしても、公正取引委員会も、ま、厳しいお役所ですが、少しでも法に触れたら、片っ端から、容赦なく、例外なく、お灸をすえて回る、ということもないと思われます。

 初回であれば、公表もせず、インフォーマルな指導で、沙汰止み、ってことを目指して、うまいこと収まるよう対応しましょう。

 他方、通知書を放置して、喧嘩腰で挑発したら、さすがに、相手の厳しいお仕置きを誘発しかねません。

 きちんと、経緯を説明し、再発防止を含めて、「知らぬこととはいえ、大変失礼しました。反省しています。今後はきちんと法を守って、フェアな競争をします」という感じでのメッセージを発し、借りてきたトイプードルのように、おとなしく、お慈悲を乞いましょうかねえ。

畑中 鉄丸(はたなか てつまる)
弁護士・ニューヨーク州弁護士。東京大学法学部在学中に司法試験(日本)及び国家公務員試験1種に各合格。新日本製鉄勤務等を経て、弁護士登録し、1998年に渡米。ペンシルバニア大ロースクール(修士課程)留学、ニューヨーク州司法試験合格後、Kirkland&Ellis法律事務所勤務等を経て、弁護士法人畑中鐵丸法律事務所を設立し、現在に至る。多数の企業・医療機関・学校法人等の顧問弁護士を務めるほか、日本弁護士連合会債権回収に関する委員会(サービサー委員会)前委員長、日本商品先物取引協会あっせん・調停委員、日本商品先物取引協会・自主規制委員会委員、一般社団法人ニューメディアリスク協会理事、子ども安全学会理事長等を歴任。著書は「企業法務バイブル」シリーズ(弘文堂)、「戦略的コンプライアンス経営」(弘文堂)、「ビジネス契約実務大全」(企業研究会、分担執筆)、「法律オンチが会社を滅ぼす」(東洋経済新報社)、「こんな法務じゃ会社がつぶれる」「生兵法務は大怪我のもと!」(第一法規)、「ヤヴァイ会社の死亡フラグ10」(経世出版)等多数。最新刊は「こんな法務じゃ会社があぶない」(2016年4月、第一法規)。

キーワード:経営、マーケティング、グローバル化、働き方改革、人材、イノベーション、経営層

閲覧履歴

    クリッピングした記事

    会員登録後、気になる記事をクリッピングできます。