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ケース13:採用は自由、されど解雇は不自由。それも、シビれるくらい不自由 弁護士・ニューヨーク州弁護士 畑中 鉄丸(はたなか てつまる) 氏

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裁判に至る解雇トラブルにおいて、会社がやらかしたミス

 そして、このケースでは、裁判所は、会社側から出された、従業員αの勤務態度等に関する主張について、次のように切り捨てています。

(1)人事部採用課所属当時、従業員αが規律を遵守しようとせず、自己主張が極端に強く、仕事に積極的に取り組む姿勢がないとし、(中略)しかし、右陳述書の記載について、従業員αはこれを否定する上、その内容は具体性を欠いており、直ちに採用することはできない。
(2)従業員αが業務内容を把握できず、把握しようという努力もしなかった旨主張し、陳述書(乙一八)には同趣旨の記載がある。しかし、右陳述書の記載についても、従業員αは否定する上、その内容は具体性を欠いており、直ちに採用できない。
(3)従業員αはいつもぶらぶらしていてさしたる仕事をしている様子はなかった旨の記載は、極めて抽象的であり、採用できない。
(4)従業員αには向上心がなく、講義の内容を理解しようとしなかったため、労働能力が向上しなかった旨主張する。しかし、企業Aの主張を裏付けるに足りる疎明はなく、・・・

 要するに、企業A側は、唯一の企業側としての有利な言い分である、

「従業員αが決まりも守らず好き放題してた」

「従業員αは、ブラブラして、ちゃんと働いてなかった」

「そんな"残念"な従業員であるαを矯正すべく、彼に対して、ちゃんと教育してたが、αの覚えが悪かった」

ことを、具体的に、証拠をもって裁判所に説明できなかったのです。このことが、会社敗訴の原因の一つとなっています。

 「過去数年間にわたる、従業員αの傍若無人ぶりや、従業員αに対する教育等」について、会社が文書化して証拠としていなかった、というミスが、裁判での負けを導いたと言えるでしょう。

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