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ケース13:採用は自由、されど解雇は不自由。それも、シビれるくらい不自由 弁護士・ニューヨーク州弁護士 畑中 鉄丸(はたなか てつまる) 氏

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<東京地裁決定の論理>

 裁判所の論理は以下のとおりです。

 就業規則にある「労働能力が劣り、向上の見込みがない」に該当するためには、平均的な水準に達していないというだけでは不十分であり、著しく労働能力が劣り、しかも向上の見込みがないときでなければならない。

(中略)

 「労働能力が劣り、向上の見込みがない」というのは、右のような相対評価を前提とするものと解するのは相当でない。

 すでに述べたように、他の解雇事由との比較においても、右解雇事由は、極めて限定的に解されなければならないのであって、常に相対的に考課順位の低い者の解雇を許容するものと解することはできないからである。

(中略)

 平成4年7月1日に開発業務部国内業務課に配属されて以降、従業員αは、一貫してアルバイト従業員の雇用管理に従事してきており、ホームページを作成するなどアルバイトの包括的な指導、教育等に取り組む姿勢も一応見せている。

 これらのことからすると、企業Aとしては、従業員αに対し、さらに体系的な教育、指導を実施することによって、その労働能率の向上を図る余地もあるというべきであり(実際には、従業員αの試験結果が平均点前後であった技術教育を除いては、このような教育、指導が行われた形跡はない)、いまだ「労働能力が劣り、向上の見込みがない」ときに該当するとはいえない。

 要するに、裁判所は、

(1)「クビにしたい従業員の能力が平均以下」、というだけではダメ、
(2)他の従業員と比べると成績が低い、という相対評価ではなく、絶対評価で「著しく労働能力が劣る」必要があること、
(3)「向上の見込みがない」にあたるためには、体系的な教育、指導を実施したのになお、向上しない、ということが必要であること(かつ、そのような教育・指導をした証拠があること

を求めているのです。

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