経営トップのための"法律オンチ"脱却講座

ケース13:採用は自由、されど解雇は不自由。それも、シビれるくらい不自由 弁護士・ニューヨーク州弁護士 畑中 鉄丸(はたなか てつまる) 氏

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今回の経営者・鬼田(おにた)社長への処方箋

 このように、解雇は「元々絶対に無理」というのがスタートラインであり、非常にハードルが高いため、訴訟というギャンブルを敢えて行うことは、あまりお勧めできません。

 スマートに対象者とお別れする最も推奨される方法は、「訴訟を避け、従業員から退職届を出してもらう」ことに尽きます。

 解雇には様々な規制が及んでいるところですが、これは、「従業員が嫌がっているのに、会社が『解雇』という一方的な意思表示をすることで、勝手に契約関係を消滅させる」という、会社からの一方的都合でラディカルな行為が実施されるからこそ、厳しく法律で規制がされているのです。

 他方、従業員側が自主的に、会社との雇用関係を消滅させることは全く自由であり、そのような形での雇用関係の消滅には、法律は一切介入しません。

 男女関係をスマートに解消し、相手と自分が傷つくことを最小限にする方法として、「こちらからフルのではなく、相手方に愛想を尽かせて、相手方からフラせる」などという方法が推奨されることを聞いたことがあるかと思います。

 雇用関係の解消も、このように進めることができれば、カドを立てずに目的が達成できる、ということになります(もちろん、「愛想を尽かせる」手法として、違法な行為は許されません)。

 実は、前掲の東京地裁決定のケースでも、会社は、全従業員数が3500名のところ、過去1年間の人事考課の平均が「3」台の従業員200名の中から候補者をリストアップしていき、最終的に、56名について退職勧奨を実施しています。

 そして、今回の訴訟の当事者となったα以外の全員については、退職勧奨に応じてもらうことに成功しています。

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