経営トップのための"法律オンチ"脱却講座

ケース12:ヤバイ情報は聞かなかったことにして乗り切れ!? 弁護士・ニューヨーク州弁護士 畑中 鉄丸(はたなか てつまる) 氏

記事保存

日経BizGate会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。

取締役に課される重い責任

 「会社」という法人は、その構成員たる自然人が実際に行動しなければ、活動することができません。すなわち、会社という「船」においては、船を動かす船長や航海長、機関長ら(これらがつまり取締役です)がきちんと行動してくれないと、何もできないどころか、間違った方向に進んだ揚げ句、氷山に激突したり座礁したりして沈没するリスクもあるのです。

 そのようなリスクを放置すれば、会社という「船」に乗っている利用者(株主です)の利益が守られません。これでは、あえて身銭を切って株主になろう、会社という「船」に乗ろう、という人がいなくなり、会社制度そのものが立ちゆかなくなるでしょう。

 そこで、法令上、取締役は、会社に対し、その任務を怠ったこと、すなわち「任務懈怠(けたい)」により生じた損害を賠償する責任を負っています。

 そして、取締役は、会社との間では、委任に関する規定に従うとされておりますので、取締役は、その職務を遂行するにつき、善良な管理者としての注意義務(善管注意義務)を負担します。

 したがって、取締役は、善管注意義務に違反した場合には、それによって会社に発生した損害を、賠償する義務を負担しています。

 ここで、取締役が負担する善管注意義務は、不作為、すなわち、「なすべき行為をしない」という場合にも、「善管注意義務にあたる」とされることがあります。

 何か間違った行為を積極的に行って、それについて「善管注意義務違反だ」と言われるのはわかりやすいのですが、「この問題について、適時に、適切な対応策をとらなかった」という場合にも、善管注意義務違反となり得るのです。

 そして、この「善管注意義務違反」は、後掲の判例のように、一般人の常識からみて、「そんなレベルの不作為(何もしないこと)であっても、違反とか言われるなんて厳しすぎる!」という内容ですから、十分な留意と覚悟が必要です。

閲覧履歴

    クリッピングした記事

    会員登録後、気になる記事をクリッピングできます。