経営トップのための"法律オンチ"脱却講座

ケース8:行政処分ごときにビビるな! 弁護士・ニューヨーク州弁護士 畑中 鉄丸(はたなか てつまる) 氏

記事保存

日経BizGate会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。

 実際の事例として、平成27年(2015年)2月27日、消費者庁が、窓ガラス用の断熱フィルムのメーカーに対して、「今までの広告は、実際のものよりも著しく優良であると示すものであり、景品表示法に反するものである旨を一般消費者に周知徹底すること」などを内容とする措置命令を下しました。

 これに対して、命令を受けたメーカーは、同年3月に、国を相手取って訴訟を東京地裁に提起したところ、東京地裁は、同年4月20日に、消費者庁の措置命令の効力を、判決の言い渡しまで停止する(つまり、消費者庁の今回の命令を仮死状態とする、ということです。)との決定を下しました。

 命令を受けたメーカーは、東京地裁のこの決定内容を引用しつつ、今後司法の場で断熱性能に根拠があることを明らかにする、とのリリースを公表して、自社の正当性をアピールしています。

 自社の言い分だけのリリースと比較して、三権の一つである裁判所の決定内容を引用したリリースは、受け手に対する説得力がより強いでしょう。

 美村社長の会社も、最後に残った現金が300万円だけ、しかも、現時点では売り上げがほとんど無くなってしまったというのですから、「執行停止」の条件が認められるかもしれません。

 ここは、国会議員に賭けるのではなく、正々堂々と法廷闘争を挑んで、まずは「執行停止」を勝ち取り、それと並行して、貴社のさまぁー鍋の広告がウソ広告ではなかったことを、科学的に証明してみたらいかがですか。

畑中 鉄丸(はたなか てつまる)
弁護士・ニューヨーク州弁護士。東京大学法学部在学中に司法試験(日本)及び国家公務員試験1種に各合格。新日本製鉄勤務等を経て、弁護士登録し、1998年に渡米。ペンシルバニア大ロースクール(修士課程)留学、ニューヨーク州司法試験合格後、Kirkland&Ellis法律事務所勤務等を経て、弁護士法人畑中鐵丸法律事務所を設立し、現在に至る。多数の企業・医療機関・学校法人等の顧問弁護士を務めるほか、日本弁護士連合会債権回収に関する委員会(サービサー委員会)委員長、日本商品先物取引協会あっせん・調停委員、一般社団法人ニューメディアリスク協会理事等を務める。著書は「企業法務バイブル」シリーズ(弘文堂)、「戦略的コンプライアンス経営」(弘文堂)、「ビジネス契約実務大全」(企業研究会、分担執筆)、「法律オンチが会社を滅ぼす」(東洋経済新報社)、「こんな法務じゃ会社がつぶれる」「生兵法務は大怪我のもと!」(第一法規)、電子書籍「鉄丸弁護士が説く!会社倒産シグナル10」(アクセルマーク株式会社)等多数。

キーワード:経営、マーケティング、グローバル化、働き方改革、人材、イノベーション、経営層

閲覧履歴

    クリッピングした記事

    会員登録後、気になる記事をクリッピングできます。