経営トップのための"法律オンチ"脱却講座

ケース8:行政処分ごときにビビるな! 弁護士・ニューヨーク州弁護士 畑中 鉄丸(はたなか てつまる) 氏

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今回の経営者・美村(ミムラ)社長への処方箋

 それでは、今回の相談についてみていきましょう。

 美村社長のお気持ちもわかるのですが、少なくとも、「三権の一つである行政権を担う消費者庁が、処分内容をリリースで公表している本件」では、「法律に従った対応」をしない限りは、消費者庁も動けないですよ。

 行政が、国会議員に何か言われたからといって、一度下した処分を、法律に基づかない方法で取り消したり、ウヤムヤにしてごまかしたりするなんてことは、今の日本では、多分ありえません。

 国会議員に相談しても、同じような回答しかこないでしょう。

 ですので、最後に残ったなけなしのお金については、もし、本件についてガチで戦いたいというのであれば、「法律に従った対応」をお上に求めるほうが、具体的には、そのお金を法廷闘争に用いるほうが、ずっとマシです。

 ご説明のとおり、行政権がもし間違った行為を行った・チョンボを犯した場合、司法権たる裁判所が、その間違った行為を取り消すことができるようになっています。

 この手続きは、法律上、「訴訟」という手続きによらなければいけません。

 しかし、訴訟をやっている間にも、行政権が下した間違った命令が生き残ったままで「ウソ広告をした会社のウソ商品」などと企業名、商品名が名指しされ、かつ、「ウソ広告を出していました、ごめんなさい」などと一般消費者に対して周知徹底させられる、というのでは、売り上げが激減して、会社が持たない、という場合もあるでしょう。

 とはいえ、まだ諦めるべきではありません。「執行停止」を裁判所に認めてもらえれば、まずは、行政からの命令である「我が社の広告はウソでした」との「自白」をしないで済みます。

 さらには、消費者に対して、「行政権から処分は確かに受けました。でも、同じく国家権力である裁判所が、『今回の行政処分が正しかったかどうかは、証拠をしっかりと出し合って慎重に検討し、判決が出るまではわからない。そこで、この行政処分は、一旦、止めておく。仮死状態にしておくことにする』と、お墨付きをくれたのです!」とのリリースを出すことが可能となります。

 これによって、「お上から命令が出た以上は、あの会社は、サギなんだな」との消費者の印象を、相当、緩和することができるでしょう。

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