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ケース8:行政処分ごときにビビるな! 弁護士・ニューヨーク州弁護士 畑中 鉄丸(はたなか てつまる) 氏

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一旦、お上の命令を仮死状態にできる!(行政処分の執行停止)

 しかし、「どんな場合であっても、行政権が下した命令(処分)は、裁判所が取り消すまで、効果はそのまま」としてしまうと、不都合が生じます。

 例えば、消費者庁が、ある企業の主力商品について、「広告どおりの効果がない」と公表し、「広告どおりの効果がないことを自分で日本中に周知徹底せよ」との命令を、ある企業に下したとします。

 その企業は、取消訴訟を提起して裁判所の判断が下るまでは(第一審の地方裁判所で大体14カ月、第二審の高等裁判所では8カ月くらい、と言われています。)、裁判で係争中とはいえ、「ウソ広告を出した企業」との汚名を着せられ続けるため、売り上げは激減するでしょうし、ひょっとしたら、倒産したり、倒産に至らなくても、売り上げが激減したりすることを理由として、取消訴訟すら提起できないかもしれません。

 そこで、行政事件訴訟法では、「処分、処分の執行又は手続の続行により生ずる重大な損害を避けるため緊急の必要があるとき」には例外的に裁判所が、行政の下した処分を「一時停止」することができるとしました。

 この場合、行政処分を下された者としても、「裁判所が『オレが判断するまでは、まだ行政の処分が正しいとは限らないから、ちょっとタイム』と言ってくれた、ウチは、まだクロとはされていないんですよ」とのエクスキューズが可能となります。

 なお、改正前の行政事件訴訟法は、この執行停止の条件の一つとして、(処分を受けた者の)「回復の困難な損害」を避けるため、という条件を規定していました。

 しかし、これでは執行停止される場合が少なすぎるということで、現在の条文では、「重大な損害」を避けるため、というふうに、条件が少し緩和されています。

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