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ケース10:"固定残業代制度"で、残業規制も難なくクリア!? 弁護士・ニューヨーク州弁護士 畑中 鉄丸(はたなか てつまる) 氏

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顧問弁護士 畑中鉄丸の助言

残業の抑止力としての割増賃金制度

 日本の労働法制は、1週間に40時間、1日8時間労働を原則として、これを超えた労働時間は「時間外労働」にあたるものと定めております。

 そして、「時間外労働」をさせるには、労働基準法36条に基づく「36協定(サブロクきょうてい)」という労使間の合意手続きを必要とし、さらに加えて、「時間外労働」をさせたなら、通常より上乗せした「割増賃金」の支払いが企業に課せられています。

 ここで、「単なる時間外労働」なのか、「月60時間以上時間外労働」なのか、「深夜や休日の時間外労働」なのかで「上乗せ割合」が異なってきます。ポイントとしては、「過酷な残業労働させるなら、たくさんの上乗せを気前よく払ってやれ」ということを法律は規定しているのです。

 このような労働法上の規制の根拠ですが、ヒト・モノ・カネといった経営資源の中で、「ヒト」と「モノ」の区別がイマイチついていない経営者が多く、「ヒト」を「モノ」扱いして、ハンパなく働かせる野蛮で過酷な労働環境が出現しがちで、しかも、労使間に委ねていては、うまくバランスが取れません。

 そうやって、「強い企業」と「弱い労働者」の関係をほうっておくと、「強い企業」が「弱い労働者」を好き勝手に労働させて搾取してしまい、労働者を困窮させることになりかねないことから、「強い企業」よりも更に強い、「国家」という最強の権力が、労働基準法でもって企業と労働者の関係を規定しておこうという考えが背景にあります。

 つまり、「割増賃金」を払うということは企業にとってコストの増加を意味しますから、時間外労働に対して「割増賃金」の支払い義務を企業に課すことは、企業に対して時間外労働を抑制させるインセンティブを与え、過剰な時間外労働をさせないようにし、労働者を保護しているのです。

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