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ケース6:トップの公私混同取引が発覚した! 弁護士・ニューヨーク州弁護士 畑中 鉄丸(はたなか てつまる) 氏

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利益相反取引規制違反のペナルティやリスク

 利益相反行為が、取締役会の承認なく行われた場合、その取引は無効(法律上効力を有しない取引)となります。したがって、今回のケースでは、社外取締役である法貴弁護士の言うとおり、取引は無効であり、ハネピン社は、契約のない状態で賃料を受け取っていたことになりますから、このお金は、コンドー商事に返さなくてはなりません。

 とはいえ、ハネピン社に財産がない場合等、コンドー社が(インチキに近い)賃料相当額の返金を要求しても容易に回収できないことも想定されます。こういった場合を想定して、会社法では、所定の取締役会承認手続きを経由せず利益相反取引を敢行した取締役は、「任務を怠った」と推定され(会社法423条3項)てしまい、原則として、会社の被った損害を賠償しなければならない立場に追い込まれます。したがって、この点においても、法貴弁護士の指摘は全くそのとおり、ということとなります。

 規制に違反した場合には、民事上の責任のみならず、「特別背任罪」という刑事罰を受ける可能性もあります。特別背任罪は、「取締役が、自己若しくは第三者の利益を図り又は株式会社に損害を加える目的で、その任務に背く行為をし、当該株式会社に財産上の損害を加えたとき」に成立する犯罪で(会社法960条)、刑法に定める背任罪(同法247条)の特別版です。

 取締役は、多くの利害関係者に対して責任を負う立場にあることを考慮して、違反した場合の刑罰を、刑法上の背任罪よりも加重しているわけです。取締役が実際に背任行為をした場合には、「10年以下の懲役若しくは1000万円以下の罰金」に処される可能性があります。また、懲役と罰金を併科されることもあります。

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