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ケース6:トップの公私混同取引が発覚した! 弁護士・ニューヨーク州弁護士 畑中 鉄丸(はたなか てつまる) 氏

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 そこで、会社法は、取締役が「会社の私物化につながるような、自分や関係者の利益を優先しがちな取引」を「利益相反取引」として、この利益相反取引を原則として禁止するとともに、どうしても実行する場合には、取締役会において議論し承認をさせる取り扱いとし、賛成取締役に「(そのような危険な取引において万が一会社に損害が生じた場合)ケツを拭かせる」というルールを定めています。

 このようなルールを、(会社法上の)利益相反取引規制と呼んだりします。典型的な利益相反取引としては、今回の甲子社長や羽根川取締役さんが行った、「取締役を務める2つの会社の取引を実行する」というタイプのものです。この場合、実際の経済条件が合理的かどうかはさておき、同一人が二人を代理・代表すると、どうしても、どちらかの会社を損させ、どちらかの会社を利する取引をしてしまいがちです。この点からこのような取引は「利益相反取引」として扱われ、会社法上の規制が及ぶことになります。

 先ほど「創業社長が100%支配している会社においてはやりたい放題」と言いましたが、これは「(取締役全員のクビをすげ替える権限を有している)株主全員がその場で承認している以上、大は小を包含する、との論理において当然、取締役会においても文句言えるやつはいないはずだ」という趣旨において、利益相反取引の逐一の承認が不要とされているのです。

 ところが、上場して、(たとえ特定株主が実質支配しているとはいえ)少数株主が厳然と存在する場合には、取締役は、それら少数株主に対しても善良なる管理者としての注意義務を負うことから、今回のような圧倒的な支配力を有する株主であっても、利益相反取引規制は厳しく作用することになるのです。

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