最後はなぜかうまくいくイタリア人

イタリア人 寄り道高じて 技磨く ワインジャーナリスト 宮嶋 勲氏

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 マルチェロ・マストロヤンニとソフィア・ローレンが夫婦を演じた70年代の映画「ひまわり」。第2次世界大戦中のソ連で行方不明となったイタリア兵が命を救ってくれた現地女性と家庭を築くが、戦後になって祖国の妻に探し出される。誘惑に身を委ねて帰れなくなる「寄り道」人生はいかにもイタリア人。だが、本来の目的を忘れる熱中ぶりが時として卓越したアイデアや芸術を生む。イタリア流の働き方は侮れない。

関心が移れば最初の目的を忘れる

 1章で、「いま」に100%集中できるイタリア人の能力について述べたが、これは新しい関心が出てくると、今度はそちらに100%集中することを意味する。何かをしている最中に新しい興味の対象ができると、本来の目的を忘れて今度はそちらに熱中してしまうのだ。

 私はイタリアのワインガイドの仕事をしているが、毎年8月の初めに、その年のワインの最終評価を決める重要な試飲会を、4日間にわたりトスカーナで行う。その試飲会に向かう日のことだった。

 試飲会が始まるのを翌日にひかえ、その日の夜は試飲に参加するメンバーが集まって、夕食を共にしながら、明日からの打ち合わせをすることになっていた。私ともうひとりのメンバーAは、ローマから車でトスカーナに向かうことにした。

 11時の予定だった出発は、その日の朝にAが妻と喧嘩(けんか)をしたために1時間遅れて、12時になった。

 アウレリア街道は夏の海水浴客で渋滞していて、思った以上に時間がかかった。それでも13時半になるとAは、「どこかこの近くで美味しいレストランを探そう」と言い出す。

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