パクリ商標

パクリは創造の扉? 絶対悪と限らず 知財コミュニケーション研究所代表、弁理士 新井 信昭氏

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芸能、映画...名作の多くに元ネタ

 パロディとしては、たとえばものまねタレントのコロッケさんの「五木ロボット」がそれに当たります。ただ、これは五木ひろしさんを知らない人(いないと思いますが)には全然面白くありません。だから、五木ひろしさんのパロディであることがバレないと困るのです。替え歌も、一つのパロディの形態です。「森トンカツ、泉ニンニク、かーコンニャク、まれテンプラ......」は、ブルーコメッツの名曲『ブルーシャトー』の替え歌。古すぎて元曲がワカラナイ、という指摘もありそうですが......。

 最後はインスパイアです。ホンダの車のことではありません。「感化」されることです。映画監督のジョージ・ルーカスさんは、神話学者ジョセフ・キャンベルさん(『千の顔をもつ英雄』の著者)の英雄伝説に感化されて映画『スター・ウォーズ』を作り上げたそうです。バレたときの言い訳ではなく、胸を張ってインスパイアしたことをルーカスさん自身が認めています。

 このようにさまざまな言い方がありますが、注意しなければならないのは、すべての人が同じ解釈をしているわけではないということ。また、解釈の仕方は同じでも、たとえばパクリと見るかオマージュと見るかのように評価が分かれることもよくあるということです。

 私が考える「パクリ商標」とは、偶然なのかワザとそうしたのかはともかく「商標法その他の法律に反しないで何らかの形で模倣した商標」のことです。これに対して、法律に反した模倣商標は、「悪意あるパクリ商標」のことです。

 このように書くと、「法律にさえ触れなければ何をやってもいいのか」と突っ込まれるかもしれません。ここが難しいところですが、商標の模倣に関しては、特にビジネス人にはそのつもりで商標を選択し管理してほしいという意味を込め、あえて「その通りです」とお答えします。

 『危険ドラッグ』という好ましくない薬物があります。これは、体への影響は麻薬や覚醒剤と変わらないものや、場合によっては麻薬や覚醒剤より危険な成分が含まれているが、法律による規制の対象外とされている薬物のことです。以前は「脱法ドラッグ」と呼ばれていました。

 法律が適用されるとき、通常は、これに反すれば違法で、反しなければ合法というように、結論はどちらか一つになります。ところが、その法律が作られたネライやワケを考えれば違法も同然なのに、法の脇の甘さを突いて必ずしも違法とは言えないというグレーゾーンがあります。この行為を、脱法行為と言います。

 商標法の世界でも脱法行為がまかり通ることがあるのかと聞かれたら、「ある」というのが私の答です。個人的には歯がゆい思いがありますが、真っ黒ではないので致し方ないところです。

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