商品、サービス、コンテンツのヒットを受けて商標登録を申請したら先を越されていた......。どうして許されるのか。 有名ブランドをパロディーにしたと思われるあの商標。「ご本家」の無効請求に対し、裁判所が示した判断は? 商標を巡る謎解き。今回はパクリの基準を解説します。
オマージュ、それともインスパイア
パクリと聞くとついネガティブな印象を持ってしまいがちだが…
パクリ商標のすべてが悪いわけではありません。そもそも「学ぶ」は「まねぶ・真似る」から来た言葉だそうです。画家のピカソも、「優れた芸術家は模倣し、偉大な芸術家は盗む」と言っています。
ところで、「パクリ商標」とは一体何のことでしょう。商標法その他の法律のどこにもパクリ商標の定義はありません。
こういうときは、一度分解してそれぞれの部分の意味を考えたり、似たような言葉と比較したりしていくことが効果的です。まず、「パクリ」の一般的な意味について考えます。
パクリに似たような言葉として「オマージュ」「パロディ」といったものがありますが、ほかに「インスパイア」があります。これらについて、インターネットにこんな記事がありました。なかなか優れものなので、紹介しておきます。"Vicul.net"(バイカル・ドット・ネット)というニュースサイトに掲載されたツィート文です。原典は不明です。
「これ2chでみつけたけど、なるほどなと思いました。
・バレて困るのがパクリ
・バレると嬉しいのがオマージュ
・バレないと困るのがパロディ
そこに追加で
・バレたときの言い訳に使うのがインスパイア
でどうかな?」
この言い方によれば、パクリは盗む意味合いが強く、文字通り「盗作」という感じです。大ブレイクした芸人さんのセリフが、何々という本に書いてあるものとソックリだと言われるときなど、これに当たる場合があります。本当に盗作なら、芸人さんにしてみればバレたら困りますよね。
オマージュを英語で言うと「homage」、「尊敬」を意味します。だから、そこに尊敬の念がないと、タダのパクリ。よく知られているものとして、映画『荒野の七人』は黒澤明監督の『七人の侍』のオマージュと言われています。『西遊記』をオマージュしたものが、マンガの『ドラゴンボール』だそうです。