英国海兵隊に学ぶリスクマネジメント

神鋼・日産...現場の不正、軍なら壊滅 マッキニーロジャーズ アジア太平洋代表パートナー 岩本仁氏

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軍は武功=結果で昇進させない

 もし武功などの結果だけで評価することが繰り返されたら、不正のリスクはかけ算式に高まる。功名心の強い現場指揮官が無謀な命令で部隊を危険にさらす恐れがある。プロセスをみないで結果だけを評価したら、兵士の規範意識も低下しかねない。

英国や英連邦の軍人向け最高位勲章であるビクトリア十字章は19世紀のクリミア戦争以来、勇敢な働きをした将官に授与されてきた

英国や英連邦の軍人向け最高位勲章であるビクトリア十字章は19世紀のクリミア戦争以来、勇敢な働きをした将官に授与されてきた

 そのため、軍隊では武功を上げた将兵には勲章=名誉で報いることにしている。勲章には上層部から授与される高位のものから、現場指揮官が自分の判断で戦闘翌日に出すことができるものまでバリエーションがある。叙勲の権限も現場に委譲することで、功労者に対し迅速に謝意を伝えることができる。

 貢献した人間を部隊さらには軍全体に周知させることで、将兵の意欲を高める効果がある。企業でも同じ事が言える。全社あるいは部署で毎月や半期ごとに貢献者を表彰する仕組みはよくあるだろう。勲章代わりに金一封が出る場合もある。こうした個人の活躍ぶりを知らしめる行事も、ある意味でモニタリングの一環と考えて良いだろう。

 以上、述べてきたように軍隊では上層部によるモニタリングが現場への権限委譲の形骸化を防ぐ上で大きな効果を上げている。これが現場に「任せる」ことと「丸投げ」することの大きな違いである。

岩本 仁(いわもと じん)
マッキニーロジャーズ アジア太平洋代表パートナー
ブーズ・アレン&ハミルトンを経て、シック米国本社グローバルビジネスディレクター、シック・アジア太平洋担当VP 兼シックジャパン社長、MHD ディアジオ・モエ・ヘネシー社長兼CEO 等、15年に渡り経営最前線を指揮。2008年10月より現職。グローバル企業の組織変革のプロフェッショナルとして、特にM&A後、JV等、複雑な組織のマネジメントに精通。過去に東京工業大学空手部コーチや世田谷区立八幡小学校PTA会長など、コミュニティ活動にも積極的に関与。東京工業大学情報科学科卒業。

キーワード:経営、働き方改革、管理職、人事、人材、経営層、グローバル化、ものづくり

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