英国海兵隊に学ぶリスクマネジメント

神鋼・日産...現場の不正、軍なら壊滅 マッキニーロジャーズ アジア太平洋代表パートナー 岩本仁氏

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現場と情報共有、戦場で生死を左右

 戦場では想定外の状況変化が常に起こる。そのため、前線で臨機応変の判断・行動ができるように、権限委譲に基づくマネジメントを進めてきた。しかし、その際に必ずセットになっていることがある。軍の上層部が現場の動きをモニタリングする。つまり「ほったらかし」にしてはいけないということを明確にするのだ。

東芝が迷走するきっかけとなった会計不祥事では、業績必達を求める経営陣の圧力が原因で現場の事業部門が利益を水増しした

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 軍隊では前線と上層部の情報共有が多ければ多いほどよいという考え方が浸透している。共有できるのが「悪い情報」であればなおさらだ。無駄に兵士を失わないために、現場が出したがらない情報であっても吸い上げなければならない。

 かつて戦場には「ブラックボックス」が至る所ににあった。軍の上層部からみて何が起きているのかが分からない状況のことだ。だが、テクノロジーの発達によって、戦場の把握は容易になってきている。敵地に潜入した特殊部隊の現在位置は、全地球測位システム(GPS)によって、かなりの高精度で確認できる。10年以上前から、前線兵士のヘルメットに超小型カメラを装着することで、戦闘の記録・分析に役立てている。

 軍隊でこうしたモニタリングが重視されるようになった背景には、戦争を巡る世論の変化がある。東西冷戦以前は戦場で多少の規律違反があっても大目に見られていた。結果が全てであり「勝者が正しい」という論理で押し通すことができた。しかし、今世紀に入って本格化した対テロ戦でそうはいかなくなった。

 対テロ戦では結果が国際社会にオープンになっている。米CNNなど報道機関のカメラは戦地の奥深くまで潜り込む。住民が携帯電話で撮影した映像が交流サイト(SNS)経由で瞬く間に世界に拡散する。誤爆などを隠し通すことは不可能になっている。

 「内部の不正はバレない」「関係者以外に知られるはずがない」という考え方はもはや通用しない。このことは企業内部であっても同様だ。

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