健康診断という「病」

ストレスチェックで分かるブラック企業 亀田高志 氏

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上司との対話のきっかけにする

 ストレスチェックを実施する一方で、受検する人のプライバシーを守るというお題目が加わり、上司にとって部下の回答結果はブラックボックスとなってしまいました。悪気はなくとも部下がどのような回答をしているのかを気にしている管理職は相当な数に上ります。

 以上のように制度上の欠陥やストレスチェックの課題はたくさんあるものの、受ける側としては問題点を分かった上でうまく利用することもできます。

 例えば、職業性ストレス簡易調査票の57項目の質問は、ほとんどが上司と対話ができれば事足りる問題ばかりです。仕事や職場の状況について困っているなら、素直に上司に相談できると簡単にストレスの原因が解消される可能性があります。それによって職場の人間関係が好転することもあるでしょう。その結果、仕事の満足度も高くなるかもしれません。

 心身の不調を感じているなら、上司にそのことを話して、仕事を一時的に調整してもらうこともできます。プライベートの人間関係についての悩みを聞いてもらってもよいのです。

 そこで話をよく聞いてもらったり、アドバイスをしてもらったりするだけで、ストレスが軽く感じられることもあります。

 ほとんどの働く人は、上司との関係を良く保ちたいと思っているでしょう。上司も同じように考えるものなのではないでしょうか。上司との関係が悪くないと思えるなら、ストレスチェックの受検の際や結果を受け取ったときには対話のチャンスだと考えましょう。

 本来、部下のストレスが解消し、元気を取り戻すことは、上司にとってよいことのはずです。部下が仕事に集中しやすい状態を歓迎しない上司はいないでしょう。

 このようにストレス解消のヒントは、ストレスチェック制度の中ではなく、その多くは日ごろからの上司と部下との直接の対話の中にあるのです。

亀田高志 著 『健康診断という「病」』(日本経済新聞出版社、2017年)「第4章 ストレスチェックでわかる会社のブラック度」から
亀田高志(かめだたかし)
株式会社健康企業代表、医師。1991年産業医科大学卒業。企業立病院での臨床研究を経て、大手日本企業や外資系企業での産業医を11年間勤める。2003年より現職母校の産業医養成機関の講師を経て、2006年に同大学が設立したベンチャー企業の副社長に就任。16年に退任後、現職専従となり、現在は企業や自治体などでのコンサルティングや研修、講演、執筆活動に注力している。

キーワード:経営、働き方改革、人事、人材、研修、管理職

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