健康診断という「病」

ストレスチェックで分かるブラック企業 亀田高志 氏

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 もともとメンタルヘルス対策の実績がない会社は多く、ストレスチェックのようなストレス調査の経験が無い人事などの担当者には難解であると、行政側は理解していたはずです。

 ですから、これを義務付ける法律が国会で成立してから義務化まで1年半ほどの時間を置いて周知と啓発に努めていました。さらに、ストレスチェックを実施していない会社をいきなり処罰するのではなく、労働基準監督署による調査や丁寧な指導が行われ、さらにはストレスチェックの説明会まで開催し、個別に呼び出すなどの支援も行っているのです。

 しかし、現実にはストレスチェック制度の義務化によって、かえって「会社のブラック度」が分かるようになってしまいました。ブラックな面をオブラートに包んで触れないようにしていたのに、それが「はげ落ちた感じ」と言えるかもしれません。

 日本では「従業員のことを大切に」と謳う会社は少なくありません。株主だけを最優先するのではなく、従業員や顧客、地域社会を重視するのが日本的な経営だという見方もあるでしょう。しかし、法的義務であるストレスチェックを実施せず、あるいはおざなりにやりっ放しにするなど、従業員のことを粗末に扱うことが判明した会社もかなりの数に上っています。このほか、チェックを実施しているけれど、それが形ばかりにとどまる会社も少なくありません。初年度では平成28年11月末か翌年3月末までが実施期限だったのに、労基署の指導があってはじめて、重い腰を上げた会社もかなりあります。

 職場の健康問題を話し合う衛生委員会を開催し、そこでストレスチェックに関する懸念や意見を従業員側から集めるように会社は求められています。そして、従業員に不利益な取り扱いをしないと説明しなければならないのです。これらを怠っている会社もあります。

 実施後には丁寧に評価や判定を行う必要がありますが、受検した人の10%前後と想定される高ストレス者の割合が、それをはるかに超えて高い会社もあります。

 反対に高ストレス者の割合が限りなく0%に近いところもあります。この場合、受検した人たちが正直に書いた結果であればよいのですが、パワハラが横行するような職場で回答することで危険が及ぶと考え、うそを書いていることもあり得ます。

 このようなストレスチェック制度の不適切な運営やストレス対策として好ましくない状況は、会社のブラックな面のあらわれなのです。

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