健康診断という「病」

職場で「がん検診」が受けられないワケ 亀田高志 氏

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そのとき、会社の支援はどうなるのか

 テレビドラマとは違い、がんは「手術が成功すればすべてがOK」とはいきません。休業、休職を経て職場復帰できても、後の検査や経過観察、場合によっては治療が続き、平日でも通院し続けなければならないことが少なくありません。

 内閣が中心となって推進してきた「働き方改革実行計画」の中で、病気の治療と仕事の両立を支援していくという方針が示されています。病気を治療しながら仕事をしている人が労働人口の3人に1人にも及んでいる現状を課題として、子育てや介護をしながら働く人と同じように支援をしていくことが表明されています。

 平成28年に厚生労働省は「事業場における治療と職業生活の両立支援のためのガイドライン」を公表しています。会社に対して、方針を表明し、ルールを整備して、相談窓口を設けるなど、現実的な支援を具体的なフォーマットと共に示し、対応を求めています。

 働く人の立場でできることとして、病気療養の場合の休業、休職、職場復帰の手続きや流れについて、就業規則や社内規程を日ごろから確認しておくのがよいと思います。また、健康保険組合の窓口で、がんだと分かったときにどのように対処すればよいのかを聞いておくことも役に立ちます。

 産業医や保健師さんがどのように助けてくれるのか、例えば主治医となる医師とどのように連携をとって情報交換してくれるのかを確認することもできます。

 患者さんと家族を支援する「両立支援コーディネーター」の養成も、ソーシャルワーカーや産業カウンセラー、キャリアコンサルタントや社会保険労務士を対象として始まっています。この両立支援コーディネーターには、医療機関と会社側と患者さんやご家族の間を仲介することや仕事を続けられるように支援を行う役割が期待されています。

 もしものときには、がんから回復していくプロセスの中で、こうした支援の枠組みを利用しながら無理をせず、復帰の準備をしていけばよいと思います。

亀田高志 著 『健康診断という「病」』(日本経済新聞出版社、2017年)「第2章 職場でなぜがん健診が受けられないのか」から
亀田高志(かめだたかし)
株式会社健康企業代表、医師。1991年産業医科大学卒業。企業立病院での臨床研究を経て、大手日本企業や外資系企業での産業医を11年間勤める。2003年より現職母校の産業医養成機関の講師を経て、2006年に同大学が設立したベンチャー企業の副社長に就任。16年に退任後、現職専従となり、現在は企業や自治体などでのコンサルティングや研修、講演、執筆活動に注力している。

キーワード:経営、働き方改革、人事、人材、研修、管理職

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