健康診断という「病」

職場で「がん検診」が受けられないワケ 亀田高志 氏

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長生きとがんは切り離せない

 とはいっても、がんと告知されて「覚悟していました」と冷静に受け止められる人はほとんどいないでしょう。呆然とするか、取り乱すか、それこそが人間らしい反応だろうと思います。

 ここで、がんについて少し違った見方をご紹介してみましょう。主要ないくつかのがんでは、脳血管障害や心筋梗塞よりも早期発見の検診手法が確立されています。がん検診という言葉はよく知られていますが、脳卒中検診や心臓発作(心筋梗塞)検診は聞き慣れないかもしれません。前者は脳ドック、後者は心臓ドックと言ったりしますね。

 がん検診では誰しもが問題無いという結果を待ち望むでしょう。しかし、そうした姿勢では、がんという重要な課題への対応を残念なものにしてしまいます。

 例えば、がん検診で「異常なし」という結果を受け取って「シロだった。自分にがんはなかった」ととらえるのは適切ではありません。

 まず知っておかなくてはいけないのは、「がんの多くは老化によるもの」ということです。

 長寿を誇る日本ですが、長生きすればするほどがんにかかる可能性が高くなります。人類の長い歴史の中では、栄養失調に陥らずに、またけがや結核などの感染症で若くして命を落とさず、中高年層まで暮らしていくのは稀なことでした。言い方を換えれば、がんになるどころではなかったわけです。

 高齢労働が一般的になり、多くの現役世代が近い将来には70歳まで働くことを求められる時代になっています。そのため、働いているうちにがんだと分かる可能性は低くありません。例えば60歳の時点でがんが無いと分かっている男性が、70歳までにがんだと診断される確率は15%程度と考えられます。

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