健康診断という「病」

γーGTP、健診前のにわか禁酒は改善なし? 亀田高志 氏

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 人間ドックのように自分で予約する必要はなく、スケジュールに従って受診して、結果をわざわざ聞きにいかなくても勝手に通知してくれるのが会社の定期健康診断ですね。

 また、検査としての妥当性については先に述べましたが、主体的に考えれば、次の3つのメリットがあることが分かります。

(1)スクリーニング:治る見込みが高い段階で、一部の病気を早期に発見できる
(2)モニタリング:生活習慣の良否や変動、軽症の生活習慣病などが悪化しないか、治療が必要でないかを経過観察できる
(3)ストレージ(保管):毎年、受けていく結果を蓄積し続けることができる

 自覚症状が無い段階でのスクリーニング効果はやや乏しいかもしれませんが、無料ならOKと考えて、早めの対処のために健康診断を受けましょう。

 そして、「定期健診の主たる対象は動脈硬化だけである」と割り切ることです。実は現代の働く人を悩ませるがんは基本的に定期健診の対象ではありません。現代は65歳から70歳まで働くことを求められるようになっていますが、その年代の健康問題は動脈硬化以外にがんがあります。しかし、ここでは割り切りが大切です。

 また、健診の結果を良い悪い、つまり「シロ」や「クロ」ではとらえないことです。身体は毎日、毎週、毎月、季節ごと、そして毎年変化していきます。定期健診の結果が通知されたら、何かが悪化していないか、例えば基準値以内でも(所見があるという指摘がなくとも)、その変化を見守っていきましょう。これがモニタリングです。

 働き始めたら、また気が付いたときからでも遅くないので、自分のためになるべく長く健診のデータを保管していきましょう。会社の定期健診結果の保管義務は5年間までとなっています。将来、転職した場合には、転職前の健診データを転職後の企業などが受け継ぐ義務はありません。

 なお転職した場合には健診機関や医療機関、血液などの検体を取り扱う検査機関が変わります。その前後で基準値が変わることもありますから、注意が必要です。

亀田高志 著 『健康診断という「病」』(日本経済新聞出版社、2017年)「第1章 『残念な健康診断』の実態」から
亀田高志(かめだたかし)
株式会社健康企業代表、医師。1991年産業医科大学卒業。企業立病院での臨床研究を経て、大手日本企業や外資系企業での産業医を11年間勤める。2003年より現職母校の産業医養成機関の講師を経て、2006年に同大学が設立したベンチャー企業の副社長に就任。16年に退任後、現職専従となり、現在は企業や自治体などでのコンサルティングや研修、講演、執筆活動に注力している。

キーワード:経営、働き方改革、人事、人材、研修、管理職

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