健康診断という「病」

γーGTP、健診前のにわか禁酒は改善なし? 亀田高志 氏

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「エビデンス」が希薄な日本の定期健診

 熱や痛み、吐き気や腹痛、下痢といった何らかの症状やけがで病院やクリニックを訪れたとき、医師から受ける検査や診断、そして薬や処置は有効だと科学的に証明されたものであってほしいと思いませんか。

 「それは当然のこと」と考えるのが普通だと思いますが、実は定期健診で行われている検査項目は、厳密な意味で科学的な検証が行われた後に導入されたわけではありません。また、純粋な病気の予防としては定量的な効果が明らかでないものが少なくないのです。

 現代の医学では「エビデンス」という英単語を使って、ある検査や治療を医師が選択する際に、その科学的な根拠を求めるようになっています。例えば、高血圧の患者さんに対して、高血圧の原因や他の臓器の状態などを考慮しながら、確率的に最善の選択をします。確率的にというのは、1人ひとりの患者さんに対して、個別にカスタマイズした上で選ぶところまで、科学的に完全な情報が無いところがあるからです。

 では、健康診断のエビデンスとは何でしょうか? 例えば、その検査をすることで、特定の病気になる人が減ったり、重症の人や亡くなる人が減少して、同時に医療費が少なくて済むことが科学的な研究や調査で証明されていることでしょう。

 こうした意味でのエビデンスが希薄なところが、日本の定期健診の課題です。平成元年に血液検査の導入が決まった際にも、事前にその効果の検証を経てから、という流れにはなりませんでした。ちなみにストレスチェックも、効果の検証が行われないまま、いわば見切り発車になりました。

納得のいく健康診断のとらえ方とは

 ここまで健診の効果への疑問を示してきましたが、冷静かつ客観的に考えると、次のようなメリットもあります。

「定期健診の費用はタダである。その時間分の給与は会社が支払うことが望ましいとされている(有害な作業に対する特殊健康診断の場合は、会社が必ず支払う)
一年に一回は自動的に呼び出しがかかり、特に意識してなくても様々な検査を受けることができる
希望すれば、結果に対して医師や保健師の説明を聞くことができる

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