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「入札制度改革」がもたらした豊洲市場工事の混乱 郷原総合コンプライアンス法律事務所 代表弁護士 郷原信郎 氏

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 豊洲市場の土壌汚染対策のための追加工事で入札不調が相次いでおり、豊洲への市場移転が一層遅れることが懸念されている。市場関係者への影響が拡大するのはもちろんのこと、移転の時期によっては築地市場跡地を活用した東京五輪・パラリンピックの輸送計画にも打撃を与えかねない。なぜ今、豊洲市場で入札の辞退や東京都の予定価格を上回る価格での入札による不成立といった事態が生じているのか。その原因は、東京都の小池百合子知事主導で行われた「入札制度改革」にある。

「入札制度改革」実施に至る経緯

混乱を極めた豊洲市場の追加工事入札(東京都江東区)

混乱を極めた豊洲市場の追加工事入札(東京都江東区)

 小池知事は都知事就任直後の2016年8月末に会見を開き、3カ月後に予定されていた築地市場の豊洲への移転を延期する方針を発表した。本連載の「豊洲問題に見る『コンプライアンスの暴走』の危険」で述べた通り、その後、「小池劇場」での演出によって、建物地下に「盛り土」を実施していなかったことが、まるで「安全」に関する重大な問題であるかのような誤解が深まり、豊洲市場のイメージは極端に悪化した。そして、小池知事就任前の東京都への批判のボルテージが上がるにつれて、小池知事の人気は高まっていった。

 小池知事は移転延期の方針を示した会見で、理由の一つとして挙げた「巨額かつ不透明な費用の増大」に関して、豊洲市場の建物の建設費が増大していることや、坪単価が相場よりも高いことを指摘し、「都民の税金を預かる立場からは、これが適正かどうかということを明らかにしなければならない」「ちゃんと都民に説明する必要がある」などと述べた。

 その後も、「東京都は高価格体質と言わざるを得ない」などと述べた。「不透明な費用の増大」という言葉からも、東京都と建設業者が癒着し、競争入札が適正に行われていない疑いがあるかのように印象づけた。

 これに関連して、小池知事や知事が設置した都政改革本部が問題視したのは、東京都の大規模工事で「一者入札99.9%落札」という入札結果が続いていたことだった。

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