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日産、神戸製鋼...大企業の不祥事を読み解く(前編) 郷原総合コンプライアンス法律事務所 代表弁護士 郷原信郎

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 ところが、実際には、多くの企業不祥事で、「偽装」「隠ぺい」「改ざん」「ねつ造」ばかりに批判が集中し、それによって企業側は弁解・説明も困難な状況に追い込まれ、「実質的に不当な行為」か否かの議論に到達しないまま、企業への批判・非難が過熱することが多く、経営トップの辞任や、企業の存亡の危機という事態に至る場合もある。

 今回の日産や神戸製鋼所の不祥事に関しては、「形式上の不正」が弁解の余地のないものであることは明白である。問題は、実質的にも不当なのか否かである。

無資格検査の表面化と日産の対応

 まず、日産の無資格検査問題について考えてみよう。

 日産の問題は、新車を出荷する際の「完成検査」についてのものだ。自動車メーカーは自社の生産する車について、車種ごとに国土交通大臣に対して申請を行い、所要の手続きを経て型式指定を受ける(道路運送車両法75条)。この型式指定を受けた自動車については、陸運局に車両を持ち込んで一台一台新規検査(58条)を受ける代わりに、メーカー自らが完成検査を行うことで、書類の手続きだけでナンバーを取得(登録)することができる。

 新規検査の代わりとなる完成検査は、車検制度の一環という位置付けであるため、国交省の通達において、「車検場における検査官と同程度の技量を持つ」と社内で認定された検査員が担当するように定められている。ところが、日産では、社内資格を持たない社員が検査工程の一部を担当し、書類には有資格者の印鑑を押すことで正しい検査が行われたかのように偽造するといった行為が、全工場において常態化していたという。

 9月18日、内部告発を受けた国交省が日産の国内全6工場の抜き打ち立入検査を開始し、事態が発覚した。それを受けて日産は、9月29日に行なった記者会見で部長クラスが2人出席して説明を行い、10月2日に開いた記者会見には西川広人社長が単独で現れ、「検査自体は適切に行われており、現在走行している車両の性能には影響ない」と、安全性を強調。あくまでも形式的な問題に過ぎないという姿勢を見せた。

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