郷原弁護士のコンプライアンス指南塾

日産、神戸製鋼...大企業の不祥事を読み解く(前編) 郷原総合コンプライアンス法律事務所 代表弁護士 郷原信郎

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 データの「改ざん」や書類の「偽装」などは、「コンプライアンスの徹底」が強調される昨今の日本社会の趨勢からは、「形式上の不正」であってもそれ自体が許容されない。そうなると、過去から恒常的に行われていた「改ざん」「偽装」も、何とかして発見されないよう、「隠ぺい」という新たな不正が行われることになる。そして、その後は、「改ざん」「偽装」だけでなく、それを「隠ぺい」していることをも巧妙に「隠ぺい」しなければならなくなる。そのようにして、不正が連鎖し、潜在化し、「カビ」として企業組織の末端ではびこることになる。

 この種の問題行為は、通常のコンプライアンス対応による発見も、組織内での自主的な自浄作用を働かせることも困難なため、多くの大企業で、今なお潜在化している可能性がある。そして、それが一度内部告発などによって表面化すると、問題行為が「広がり」を持ったものであるだけに、社会的批判・非難が一気に高まり、企業に重大なダメージを生じさせることになる。

 そのように企業内で潜在化している「カビ型問題行為」を把握し、問題解決する最も有効な方法は、「問題発掘型アンケート調査」である。その詳細については、やはり本連載の「『カビ型行為』対策の切り札、"問題発掘型アンケート調査"」で述べた。実際に、「問題発掘型アンケート調査」で、企業内で潜在化していた重大な問題を把握できたケースは多数ある。その中には、今回の神戸製鋼所の問題や東洋ゴムの防振ゴム問題と同様の、客先の仕様・要求に適合しないデータの改ざん事例もある。

「形式上の不正」ではなく「実質的不当性」が問題

 こういう問題が表面化した場合、まず第一次的に問題にされ、批判の対象となるのが「情報の記録・保存・開示に関する不正」としての「偽装」「隠ぺい」「改ざん」「ねつ造」である。

 しかし、社会的には、そのような「情報の記録・保存・開示に関する不正」自体が重要なのではない。そのような行為によって情報が歪められたこと、隠されたことが、社会に対して、実質的に、どれだけの損失・損害、或いは危険をもたらしたかである。「形式的な不正」だけではなく、「実質的にも不当」と言えるかが、最大の問題なのである。

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