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豊洲問題に見る「コンプライアンスの暴走」の危険 郷原総合コンプライアンス法律事務所 代表弁護士 郷原信郎

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豊洲市場問題の誤解が進むほど高まった小池氏人気

 一方で、土壌汚染、危険性が印象付けられた豊洲への市場移転を延期したことが「大英断」だったように思われ、これまで伏魔殿と呼ばれていた東京都の大改革を断行する都知事という期待から、小池氏への人気は一層高まっていった。

 建物地下に盛り土をせず地下空間を設置するという方法に関しては、安全性に関する具体的な問題は指摘されていない。むしろ、専門家からは、盛り土よりも衛生的であるという意見や、メンテナンスなどの観点から非常に有効であり、正しい選択であったという評価の声が上がっている。

 また、専門家会議は条例に基づいて設置されているものではなく、法的に東京都の決定をオーソライズするものではない。盛り土の代わりに地下空間を設置する方法を、安全性への懸念から否定した事実もない。

 東京都の職員が、専門家会議などの意見を参考にしつつ、適切な方法を選択したのであれば、結局のところ、都民・都議会に対する説明内容が誤っていたという「情報公開の不足」の問題なのである。

 生鮮食品を扱うという事業の性質上、小池氏が開場直前の豊洲市場問題を扱う上で最も重要なことは、「安全」と「安心」が混同されないような丁寧な説明を行うことであった。いくら客観的には安全であっても、安心だという印象が得られなければ、市場としての開場は困難となるからだ。

 過去の「情報公開の不足」の問題は、謝罪した上で適切な情報公開を行えば済む話だった。それによって、「安全」に関する懸念が生じることも「安心」が損なわれることもなかった。

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