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タカタ問題とパロマ問題に共通する「世の中の誤解」 郷原総合コンプライアンス法律事務所 代表弁護士 郷原信郎

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 そのため、修理業者は、やむなく制御装置との連動を切り離し、湯沸かし器を使える状態にする。応急処置としての「不正改造」だが、その結果、ファンと湯沸かし器の連動機能のない、従来通りの湯沸かし器と同じ状態に戻るだけで、ただちに危険になるわけではない。速やかに制御装置を取り寄せて交換し、正規の修理を完了すれば何の問題も生じない。

 しかし、「不正改造」後、修理業者が制御装置の取り寄せを怠り、連動が切り離された状態で放置されることもあり、その間に何らかの原因でファンが停止して一酸化炭素中毒事故が発生するというのが、同製品で多発していた事故の実情だった。

 1996年に東京都港区のアパートで男性が死亡し、発生当初警察は「死因は心不全」としていたものが(この「虚偽説明」は警察の問題で、パロマとは無関係だった)、実は、パロマ社の子会社パロマ工業製の瞬間湯沸かし器による一酸化炭素中毒によるものであったことが明らかになった。そのことで、パロマ工業の特定の問題機種による一酸化炭素中毒事故で過去20年間に15人の死者が出ていたことがマスコミで取り上げられ、法的責任を否定するパロマ側の対応が社会の反感を招いたこともあり、猛烈なバッシングに発展していった。

タカタ製もパロマ製も製品は安全性に優れたものだった

 事故の多発が社会問題になったため、危険性が印象づけられ、「問題のある製品」という認識が広まっているが、タカタ製のエアバッグも、パロマ製の湯沸かし器も、製品それ自体は技術的に非常に優れたもので、全体的に見れば従来のものよりも死傷防止機能が高かった可能性が大きい。

 作動性能に優れたタカタのエアバッグは全世界で13社の自動車メーカーに採用され、世界中で人命保護に貢献してきた。タカタが、「安全性の一層の向上」にこだわらず、他社と同様に、作動の確実性では劣る硝酸グアニジンを採用していたら、少なくとも今回のように「暴発」の問題で、会社の存亡の危機に追い込まれることはなかっただろう。

 問題とされたパロマの湯沸かし器も、過去に多発していた一酸化炭素中毒事故の危険を防止する機能を付加したもので、それによって多くの人命を救ってきた。

 いずれも、安全追求という面の企業努力で生み出された製品だった。しかも、パロマの湯沸かし器に欠陥はなく、タカタのエアバッグも、事故の原因は未だはっきりしない部分はあるものの、少なくとも性能基準が満たされていたことは確かだ。

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