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タカタ問題とパロマ問題に共通する「世の中の誤解」 郷原総合コンプライアンス法律事務所 代表弁護士 郷原信郎

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パロマ湯沸かし器問題の本質

 続いて、パロマ湯沸かし器事故問題を振り返る。この問題は、パロマ工業製瞬間湯沸かし器による一酸化炭素中毒事故が20年間の間に10数件起きていた事実を経済産業省が報道発表したことを契機に同社への社会的非難が高まり、元社長らに対する業務上過失致死傷罪の有罪判決にまで至ったものだ。

 2006年7月14日、経産省の発表と同日に社長が記者会見を行い、一連の事故は、器具の延命などを目的に安全装置を解除した修理業者による不正改造が原因で、製品には全く問題ないとの発言をし、自社の責任を明確に否定した。その説明通り、パロマの湯沸かし器に欠陥はなかった。

 ガス湯沸かし器にはいくつかの排気方式があるが、そのうち、内蔵されたファンの力で強制的に排気し、面倒な換気を必要としない強制排気型は人気が高かった。しかし、湯沸かし器の使用中にファンが止まった場合、直ちに危険な状態に陥る。寒冷地を中心に、それによる一酸化炭素中毒事故が相当数起きていた。

 そこで、ファンが停止した場合には湯沸かし器の運転自体が止まる、つまり、ファンと湯沸かし器を連動させる制御装置付きの湯沸かし器が開発された。これが、問題となったパロマ製の機種であった。一酸化炭素中毒事故の防止に非常に有効な、画期的な製品だったため、急速に売り上げを伸ばした。

 しかし、制御装置の故障で、ファンが停止していないのに燃焼が停止するという事例が一定数発生した(ファンが停止しているのに燃焼が停止しない場合は直ちに事故につながるが、反対の場合、それ自体は危険ではない)。ユーザー側は湯が出ない状態を何とかしてほしいと修理業者に依頼することになるが、交換するための制御装置の取り寄せには時間がかかる。

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