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タカタ問題とパロマ問題に共通する「世の中の誤解」 郷原総合コンプライアンス法律事務所 代表弁護士 郷原信郎

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タカタ製は他社製よりも優れ、性能基準にも合致していた

 一方で、湿度による体積変化があり、吸湿しやすいという欠点があり、加工や品質管理が難しい。タカタは、独自の技術開発によって、硝酸アンモニウムの採用に至ったという経緯があった。少なくとも、作動性能という面では、タカタのエアバッグが他社製よりも安全性に優れた製品であることは、業界内でも共通認識であった。

 2008年、暴発死亡事故を受けての最初のリコールは、対象が北米に限定されていた。湿気に弱い硝酸アンモニウムを湿気にさらされやすい状態で放置するといった、タカタ北米工場でのずさんな品質管理が原因として特定されたためだ。

 しかし、その後、タカタ製のエアバッグについて、製造工程に問題が認められたもの以外のエアバッグでも異常破裂が相次ぎ、リコールが繰り返される事態が生じたことから、硝酸アンモニウムの経年劣化が暴発の原因であるとの指摘が行われるようになった。

 通常、火薬の経年劣化というのは、燃焼速度の低下、つまり、エアバッグで言えば「不発」につながるのだが、硝酸アンモニウムの場合は、高温多湿下で長期間使用して劣化すると逆に燃焼速度が異常に上がり、「暴発」に至る危険があることが分かってきたのである。

 タカタが原因調査を依頼したドイツの研究機関は、タカタ製のエアバッグは自動車メーカーや米当局の求める性能基準を満たしているが、「工場での製造管理ミス」「高温多湿な環境への長期間の露出」「湿度の高いエアコン近くにエアバッグを配置する車体設計」という3つの要因が重なった場合、異常破裂の危険を生じさせる可能性が高まると指摘した。

 しかし、車の使用環境、車体の設計は、自動車メーカーが自らの裁量で行うもので、タカタが独自に決定できるものではない。経年劣化による「暴発」の危険を防止するためには、エアバッグメーカーのタカタだけではなく、自動車メーカー側にも、設計上の配慮が必要だった。

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