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第三者委員会が果たすべき役割と世の中の「誤解」 郷原総合コンプライアンス法律事務所 代表弁護士 郷原信郎 氏

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第三者委員会の「2つの機能」

 ここで重要なことは、第三者委員会には、"企業に関する問題を徹底して明らかにし適切に批判すること"と"不当な批判・非難から企業の正当な利益を守ること"という2つの機能があるということだ。

 一般的には、第三者委員会の機能として前者の「オフェンス機能」が強調される傾向があるが、後者の「ディフェンス機能」も実は、第三者委員会の重要な機能なのである。偽装、隠蔽、捏造、改ざんという言葉について定義を曖昧にしたまま、事実関係や実態と離れた批判を行うというような、問題のある報道がなされやすい状況において、不祥事を起こした企業に対して不当な批判・非難が行われやすいという現実があるからだ。

 企業が、誤解に基づいて本来受けるべきではない批判・非難を受けることは、当該企業はもちろん、問題の正確な理解が妨げられることで、世の中にとっても大きな弊害をもたらす。そういう意味で、問題を正しく理解してもらうためにしっかりと事実を調査することは、企業の正当な利益を守ることになり、そして社会全体をより良くしていくことにもつながるのである。

 第三者委員会が「ディフェンス機能」を果たす場合のアウトプットは、企業側、不祥事の当事者の経営者にとって有利な方向に働く。しかも、不祥事の中身についてマスコミ報道の歪みによって誤解が生じている場合には、委員会の判断・結論に対して反発・批判が生じやすい。

 それだけに、調査結果の信頼性が特に重要であり、当該組織から独立して、中立的かつ客観的な立場で調査検討が行われたものであることと、報告書などのアウトプットが十分な根拠と説得力を持つものであることが求められることとなる。

 ここで注意しなければならないことは、「第三者委員会」にも、様々な性格のものがあるということだ。第三者委員会の評価に当たって、「ステークホルダーの利益の確保」と中立性・独立性を強調する「日弁連第三者委員会ガイドライン」を金科玉条のように受け止め、「あらゆる第三者委員会がガイドラインに準拠すべし」という考え方をとるのは適切ではない。組織の不祥事と言っても、組織の活動、事業の内容、公益性の程度などによって第三者委員会の性格は異なる。

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