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第三者委員会が果たすべき役割と世の中の「誤解」 郷原総合コンプライアンス法律事務所 代表弁護士 郷原信郎 氏

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 組織の不祥事の場合、その組織が不祥事から立ち直り、より良く社会の要請に応えられれば、不祥事の当事者である経営者というよりも、その組織自体にとってプラスになるはずだ。その対価として当該組織から相応の報酬を受け取るのは当然である。それは、調査の中立性の問題とは本来切り離して考えられるべきものである。

 しかし、報酬を支払うのがその組織自体だといっても、不祥事を起こした当事者である経営者などが人選を行えば、選定者の利益に反する調査が行いにくくなるのではないかという疑いが生じる。そこで考えられるのが、第三者委員会の人選を、社外役員などを中心に、不祥事の当事者から切り離して行うことだ。

 ただ、そのような人選を行った例はほとんど聞いたことがなく、不祥事の当事者でもある経営陣が人選を行う場合が多い。そうなると、メンバーの人選やその選任の経緯も、第三者委員会の評価の要素とならざるを得ない。しかし、いずれにせよ、重要なのは、調査・検討を行った上での報告書などの最終的なアウトプットの内容である。

 行った調査が不十分で、結論についての根拠が十分に示されていなければ、第三者委員会の結論に対して世の中の納得を得ることができない。JOCの調査チームの場合がまさにそうであるように、表面的にはいくら中立的かつ独立した立場の人間が選ばれていても、調査が不十分で根拠が薄弱であれば第三者委員会を設置した意味はない。

 また、不十分な調査や薄弱な根拠で依頼者に有利な方向での判断・結論が示された場合、メンバーの選任理由・経過、委員会での調査・検討の経過などが、中立性、独立性の観点から問題にされる。その点に疑念の余地があれば、判断・結論への理解・納得が得られず、不祥事を一層深刻化させることになる。

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