郷原弁護士のコンプライアンス指南塾

「カビ型行為」対策の切り札、"問題発掘型アンケート調査" 郷原総合コンプライアンス法律事務所 代表弁護士 郷原信郎

記事保存

日経BizGate会員の方のみご利用になれます。保存した記事はスマホやタブレットでもご覧いただけます。

調査主体を経営から分離することが重要

 "問題発掘型アンケート調査に関して重要なことは、以下の3点である。

 (1)実施主体を会社から切り離し、独立性・中立性を確保すること。企業の現場、職場内の具体的な問題を含め、率直な回答を得るためには、実施に当たって、回答者や回答内容に関する情報が会社に直接提供されず、回答内容は、すべて実施主体で分析・検討した上で、結果のみが会社に報告されることを明確にする必要がある。

 そして、その点について社員からの信頼を得るためには、実施主体も、コンプライアンス・CSRなどに関する大学・研究機関やコンプライアンスに精通した法律事務所のように、信頼を得るにふさわしい存在である必要がある。

 (2)問題の発掘ができるよう、選択式質問と自由記述式質問を適切に組み合わせ、関連づけた質問構成にすること。実施企業の事業内容・特性、事業環境の変化・組織体制・過去に発生した問題から想定される問題などについて十分な事前ヒアリングを行って企業の状況を把握した上で選択式質問を作成する。質問に回答することを通して、社員の問題意識が喚起される。それに関連づけて自由記述式の質問をすることで、社員が日頃から感じていることを率直に答えやすいようにすることが重要である。

 (3)上記(1)(2)が適切に行われることによって、実施主体と回答者との直接のコミュニケーションを確保することができれば、「問題発掘」の効果をさらに高めることができる。すなわち、アンケートは会社から独立した実施主体が設置したウェブサイトに社員側からアクセスする方式で行い、実施主体側から社員のメールアドレスへのアクセスが行えるようにすることで、選択式質問に対して、何らかの問題があることを示唆する回答をした社員を対象として問題の具体的内容を引き出す2次調査を行うことが可能となる。

 この2次調査の質問も、1次調査の結果から、問題があることを示唆する社員が相当数存在していること、「この機会に具体的に回答することが、自分のためにも、会社のためにもなる」と考えてもらうようにすることが重要である。

 このような"問題発掘型アンケート調査"は、既に、一部の企業で、回答者の警戒心をとき、具体的で詳細な回答を引き出す成果を挙げている。検査データの改ざんや営業上の問題など、経営者が把握していなかった問題が発見され解決につながった事例も存在する。

閲覧履歴

    クリッピングした記事

    会員登録後、気になる記事をクリッピングできます。