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「カビ型行為」こそが企業不祥事の「問題の核心」 郷原総合コンプライアンス法律事務所 代表弁護士 郷原信郎

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通常のコンプライアンス対応による発見が困難な「カビ型」

 報告書では、問題の根幹として「研究者のおごり」と「違法行為による呪縛」を挙げ、後者について、「一度開始された不整合や隠ぺい工作を当局に知られることなく中止することは極めて困難であり、化血研の役職員は、先人達が始めた不正行為や隠ぺいを当局に報告する勇気もなく、それらを改善する方策も見つからず、先人達の違法行為に呪縛されて、自らも違法行為を行うという悪循環に陥っていた」との指摘がなされた。

 表面化すれば厳しい批判・非難を受けることが確実な違法行為であるからこそ、当事者にとっては、「絶対に表には出せない行為」と認識され、深く潜在化する「恐ろしいカビ」と化してしまうことをよく表している。化血研不正問題は、厚労省への内部告発によって明るみになった。

 「カビ型行為」には、通常のコンプライアンス対応による発見が困難であり、組織内での自主的な自浄作用を働かせることが難しく、ひとたび内部告発などによって表面化すると深刻な問題に発展するという「恐ろしさ」がある。このように、現在の日本社会においては、厄介かつ深刻な「カビ型行為」が蔓延している。それらをどのように発見・除去すればよいかという点について、次号で述べることとしたい。

郷原 信郎(ごうはら のぶお)
郷原総合コンプライアンス法律事務所 代表弁護士
1955年島根県松江市生まれ。1977年東京大学理学部卒業。1983年検事任官。公正取引委員会事務局審査部付検事、東京地検検事、広島地検特別刑事部長、法務省法務総合研究所研究官、長崎地検次席検事などを経て2003年から桐蔭横浜大学大学院特任教授を兼任。2004年法務省法務総合研究所総括研究官兼教官。2005年桐蔭横浜大学法科大学院教授、コンプライアンス研究センター長。2006年検事退官。2008年郷原総合法律事務所(現郷原総合コンプライアンス法律事務所)開設。2009年総務省顧問・コンプライアンス室長。2012年 関西大学特任教授。2014年関西大学客員教授。現在、公職として、国土交通省公正入札調査会議委員、経済産業省産業構造審議会商務流通情報分科会安全小委員会委員、横浜市コンプライアンス外部委員を務めている。

キーワード:経営、CSR、環境問題、グローバル化、働き方改革、イノベーション、経営層

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