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熱かった「トランプ相場」は終息か、第2幕が開くか 経済アナリスト 田嶋智太郎氏

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FRBは無党派であり、政治圧力には屈しない...

 このように拡張的な財政政策への期待感がある半面、経済政策は「財政」と「金融」の両輪で成るため、当然、市場もその両方に常に目を光らせている。そこで、「新政権の発足によって当面の米金融政策の方向性に何らかの変化が生じるのかどうか」にも注目すべきだろう。

 この点について、1月18日の米連邦準備理事会(FRB)イエレン議長による講演の内容がかなり印象的なものだったので、ここで改めて確認しておきたい。イエレン氏曰く「FRBは無党派であり、短期的な政治圧力を遮断するよう設計されている」「利上げを先送りし過ぎた場合には"nasty(むかつくほどひどい)surprise"となるリスクがある」。

 聞くところによると、FRB議長が公の場において"nasty"といった少々乱暴なワードを用いることは極めて珍しいことのようである。周知のとおり、トランプ大統領は米金利とドルの低位安定を強く志向しているようであるが、そのうえで金融政策当局に何らかの政府圧力をかけてくるような場面があれば、イエレン議長率いるFRBは、それに敢然と立ち向かう用意があると見ておいていいだろう。

 こうしたFRBの姿勢は、市場においてドル買い材料の1つと映りやすい。もともと、トランプ氏自身が3.5~4%程度の高い経済成長を公約に掲げており、それが実現可能とみられるようになってくれば、自ずと適切な利上げ措置か講じられるだろうし、市場も素直にドル買いで反応しやすくなるものと思われる。

見定めたい「トランプ・トリレンマ」の解決の道筋

 しばしば議論されるように、トランプ氏が大統領選のときから掲げている政策の方向性や政治的志向には「トリレンマ」を内包している。ここで言うトリレンマとは「同時には成り立たない3つの事柄」と考えてほしい。3つの事項とは(1)大型減税、(2)大規模なインフラ投資、(3)米金利とドルの低位安定である。このうち2つが同時に成り立っても、残る1つには矛盾が生じる状況にある。トランプ政権は、まず優先順位の高いものから進めていき、最終的には何かを捨てなければならなくなるだろう。

 トランプ氏が掲げる経済改革の柱は、何と言っても「大型減税」と「大規模なインフラ整備」であり、これらは同時に進めることが可能であるし、高い経済成長を目指すうえで優先順位も高い。ただし、財政を大胆に動かすのであるから、それだけでも米国債は売られがちとなり、結果的に米金利は上昇しやすくなる。また、いずれ政策が奏功して経済成長が加速していけば米金利に一段と上昇圧力がかかるようになる。

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