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「1ドル=125円台の壁」は本当に存在するのか? 経済アナリスト 田嶋智太郎 氏

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 もはや少々旧聞に属する話題ではあるが、去る6月10日の午後1時過ぎ、衆院財務金融委員会において、例の黒田日銀総裁発言は何の前触れもなく飛び出した。

 「さらに円安に振れていくことはありそうにない」。その発言に対し、市場は当初「円安への強いけん制」と受け止め、そこから一気に円の買い戻しが進んだ。

 発言をめぐって市場ではその後、「総裁はあくまで実質の円相場(=実質実効為替相場)についての一般論を述べたにすぎず、目の前で展開されている名目の相場の話ではない」、「総裁発言は単純な失言とは考えにくく、他方で進められている環太平洋経済連携協定(TPP)交渉などに配慮した確信犯的なものであった」といった解釈も交錯した。

 結局、数日後に黒田総裁が参院財政金融委員会において自らの発言内容を修正するような格好となり、とりあえず事態は収拾へと向かうこととなったわけだが、あれからおよそ3週間が経過した執筆時においても、市場では「1ドル=125円台の壁」を意識する向きが少なくない。果たして、本当に1ドル=125円台は突破できない壁となり得るのか。長らく続いてきた円安・ドル高の大きな流れは、ここから逆流し始めるのか。そのあたりのところを、ここであらためて考察しておきたい。

円安・ドル高という"柿の実"は熟し切っているのか?

 一説によると、件の日銀総裁発言は「およそ4兆円規模の円買い・ドル売り介入に匹敵するほどのインパクトがあった」とされる。古い話になるが、1995年7月から9月にかけて、当時、旧大蔵省の国際金融局長であった榊原英資氏が実施した円売り介入の総額が2兆5000億円であったわけであるから、時代が違うとはいえ、4兆円は相当に巨額と言える。

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