泉田良輔の「新・産業鳥瞰図」

自動運転で注目!半導体企業エヌビディアの実像 GFリサーチ 泉田良輔

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 これまで、PCにはインテルのチップが搭載され、データセンターにはインテルのチップを搭載したコンピューターが普及していった。自動運転の世界ではエヌビディアがPCの世界におけるインテルのような位置づけになるようにも見える。

 話はそれるが、そうなると自動車メーカーは、半導体メーカーに対するPCメーカーのような位置づけとなり、自動車メーカーが関与できる領域が大幅に狭まる可能性が出てくる。極端なケースでは外観や内装をデザインして組み立てるだけが付加価値となってしまうだろう。これまでのように自動車メーカーが全体について開発から製造まで携わることで付加価値を出していた状況は大きく変わるかもしれない。

 2018年1月に米ラスベガスで開かれた世界最大の家電見本市「CES 2018」でトヨタの豊田章男社長がモビリティーサービス専用次世代電気自動車として「eパレットコンセプト(e-Pallet Concept)」を発表している[3]。それを活用したモビリティーサービスプラットフォームの構築を急ぐのも、もはや自動車製造業として得られる付加価値が将来大きく限定されていこうとする未来像が見えているからではないだろうか。これまでハードウエアで得られていた付加価値を将来はサービスから得たいと考えているのが透けて見える。

 エヌビディアは自動車が走り回る都市を対象に新たな事業を展開することも発表している。これには「AI City」という名前がついており、エヌビディアによると、2021年1月期までにAI Cityの市場規模は20億ドル(約2120億円)になるという。同社はAI Cityに関わるテーマとして、都市の「効率化」と「安全性」を挙げる。市街地の道路や建物に設置してある監視カメラの映像をAIでリアルタイムに処理し、交通管理や防犯に役立てる。エヌビディアはそのための製品やサービスを提供しようとしている。

エヌビディアはどこまで大きくなるのか?

 ここまで見てきたように、エヌビディアは事業領域を、ゲームやデータセンターから、AI、自動運転車、そして都市インフラにまで拡大しようとしている。どこまで同社の事業規模は大きくなっていく可能性があるだろうか。

 ここでは多少の無理を承知で、インテルの成長期における業績とエヌビディアのこれまでの業績を重ね合わせて未来を想像したい。

 下図は、インテルの1975年度から1994年度までの売上高とエヌビディアの1998年度から2017年度までの売上高を重ね合わせたものである。

 なぜ、インテルの1994年度とエヌビディアの2017年度を重ね合わせるようなグラフを描いたのか。ご存知のようにインテルではPCの普及とともに製品数を増やして事業を拡大した。その後、スマホ向けのCPUで採用が進まなかったという失敗はあったものの、PCの用途が次々に広がることで同社の事業も急速に成長したのは確かだ。

 エヌビディアもこれまでのゲームやデータセンター向けの売上高に加え、2025年までに自動運転車向けの事業が本格的に花開くという。そこで、エヌビディアがGPUをはじめとする製品を次々に展開し始めてからの約20年間と、インテルがPC向けのCPUを次々と展開した時期を重ね合わせてみたくなったのだ。

 また、おもしろいことに2017年度のエヌビディアの売上高は1994年度のインテルの売上高に近い水準になる。2017年度のエヌビディアと1994年度のインテルの営業利益はほぼ同水準である。物価水準などが異なるという指摘はあろうが、ここは今後どの程度の変化をしていくのかを想像するための材料とご理解いただければと思う。

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